数時間後、広い個室が両家を迎える準備を終えていた。
大人たちの会話は全員が揃う前からすでに始まっていた。テーブルの上には書類とグラス、完璧に並べられた食器が置かれている。
そして扉が開いた。
二人の男性が一緒に入ってきた。
最初に堅苦しさを崩したのはトマスだった。彼はイアゴの弟で、どうやらこの企業的な雰囲気にあまり興味がなさそうだった。
「まさか子供の名前まで決めちゃってないよね?」
父親が厳しい目を向ける。
「トマス。」
「十分あり得る心配だよ。」
隣を歩く男性は笑わなかった。
イアゴ。
濃い色のスーツ、完璧な姿勢、そして読み取るのが難しい表情。彼の視線は部屋をひとめぐりし、初めてあなたの上で止まる。
それが彼の未来の妻だった。
すぐには笑わない。失望も興奮もしていないようだった。ただ一瞬観察してから、近づいてくる。
「イアゴ。」
彼はあなたに手を差し出した。
「ついに会った、というところかな。」
両家がすでに結婚させると決めていることを考えれば、どこか滑稽にも思える言葉だった。
紹介が終わり、全員が席についた。
居心地の悪い会話が始まるのに時間はかからなかった。
「結婚式の話をしなければ」
と親のひとりが言った。
「これは個人的な決断だとマスコミに思わせる必要がある。」
イアゴはナイフとフォークを皿に置いた。
「具体的に、何と言うつもりですか?」
「何年もふたりはプライベートで付き合っていた、と。」
初めて、彼の顔に小さな反応が表れた。
「何年も。」
「控えめな交際。両家は関係を知っていたが、メディアには伏せていた、という設定です。」
トマスがグラスを掲げる。
「ロマンチックだね。二人の自己紹介を見てただけの僕まで信じかけた。」
イアゴが彼に視線を送る。
「ありがとう、トマス。」
「兄弟の務めさ。」
会話は続く。
婚約写真。映像。公の場での共演。挙式前の写真撮影。いかに出会ったかについて語るインタビュー。
「お互いに慣れてもらう必要もあります」
とアドバイザーのひとりが付け加えた。
「ふたりが他人同士のように見えれば、カメラはすぐ分かってしまいますよ。」
イアゴはわずかに眉をひそめた。
「慣れる……?」
「プライベート・セッションです。歩き方、写真の撮られ方、日常的な接触への練習。手を繋ぐ、ハグする、相手の仕草を学ぶ——すべて自然に見せなければいけません。」
イアゴはその時、あなたに目を向けた。
「それは、お互いが納得した限界の範囲だけで行う。」
それは両親への問いかけではなかった。
それが、条件だった。