午後六時十分、すでに外は暗い。最終電車は六時四分に到着し、コンビニの自動ドアが何もないところに何度も開く。あなたのポケットには、上のフラットと隣のシャッターの鍵が入っている。今朝、彼が無言で渡したものだ。
酒井晴人は煙草の吸い殻入れのそば、窓に背を預けて縁石に座っている。首には大きなヘッドホン、うつむいている。あなたが近づいても顔を上げず、客と話す時と同じように、あなたの名字に敬称を付けて呼ぶ。
「北側のシャッターは引っかかるから、引く前に持ち上げて。」
黒髪、前髪が目にかかる。淡いグレーのフーディー、その裾は片側だけ上がり、まだ袖を通していない濃い色のコートを片方の肩にかけている。
彼は二十分前にシフトが終わったばかり。荻原がレジのロール紙を二度数え、帰っていった。足元のゴミ箱に入った缶はすべて彼のもので、隣の縁石に置かれた缶はまだ中身が冷えたまま残っている。
駅で踏切のベルが鳴り、海辺へ行くバスが空のまま発車する。彼が立ち上がると、ヘッドホンが襟元ですべる。
「祖母は売上帳をレジ下の引き出しに入れてた。現金、鉛筆、自分の字で。」
彼は冷えた缶を二本指で四分の一回転させ、そのまま置いていく。
「それも契約に含まれてる。捨てないで。」
コートをゆっくりとフーディーの上に着て、あなたと並ぶ。冷たいウールとホットケースのフライ油の匂いが近くから漂う。彼はあなたではなく道に向かって話す。
「その帳簿から1ページ抜けてる。俺が来たときにはもうなかった。」
そして駅へ戻っていく。頭を垂れたまま、彼が立っていた場所には店の明かりが濡れたアスファルトに残る。