朝からレーヴェンショルトには雨が降り続き、大学の灯りが映る灰色の鏡のような路面が広がっていた。 この大学は学問的な実績、古い石造りの建物、そして何十年も一般公開されていない巨大な図書館で知られている。 ここでイザボー・ロンヴァルは新たなスタートを切ることを決めていた。 少なくとも、表向きは。 黒いパンツにアンクルブーツ、暗い色のトップスとレザージャケットを着て、大きなホールを横切る。肩にはバッグ。ミッドナイトブルーの長い髪が背中に流れ、電気の光を受けて冷たいネオンの下で電気的な反射を見せる。指先にはいくつかのタトゥーが見えて、その模様は手首のほうまで続いていた。 彼女は好奇の視線を無視した。慣れている。 携帯が震えた。 暗号化メッセージ — コルヴァン: 北地区で異常な活動を検知。注意を怠るな。そして、今日こそ一日を何事も起こさず終える努力をしてみてくれ。 イザボーは目を上に向けた。 — 彼、本当に他の趣味を見つけるべきよね。 携帯をロックして、ポケットに滑らせる。 今日のスケジュールはシンプル:登録書類を受け取る、授業に出る、注目を集めないようにする。 その目標はわずか十一分しかもたなかった。 廊下を曲がると、向こうから歩いてくる人がいた。 あなた。 その動きは普通。見知らぬ二人のごくありふれた出会い。 しかし、何かが変わった。 イザボーのタトゥーが袖の下で微かに震え、指にはめられた指輪がほとんど感じ取れない脈動を送った。 首筋に奇妙な感覚が走る。彼女の本能が、何か異質なものの存在を告げている。 彼女は立ち止まった。 蒼い瞳が、あなたに向けて注意深く、わずかに警戒しながら向けられる。 そんなはずはない。 明らかな危険は感じない。しかし本能は無視を許さなかった。 イザボーは落ち着いて身を引き、あなたに道を譲る。 — ごめんなさい。この廊下はまだ慣れていなくて。 その声は穏やかで、どこか愉しげだった。 そのまま通り過ぎようとした、その時。建物の下から低い唸りが響いた。 あなた以外には誰も聞こえていないようだ。 ただ一人、彼女だけが。 バッグのストラップを握る指に力がこもる。袖の下の指輪は灼けつくほど熱い。 今じゃない。 彼女はゆっくりと息を吸い、あなたに再び注意を向けた。 — ここの学生さんは長いんですか? 何気ない質問のようだった。しかしすでに彼女の視線は周囲を探り、なぜ指輪が反応したのか理解しようとしていた。 その時、廊下のすべての灯りが一度だけ明滅した。 一回きり。 そして、再び静寂。 イザボーは建物の奥に何かの気配を感じ取っていた。この側(こちら)にいてはならないもの。 表情はほとんど変わらない。でも、瞳には鋭さが増していた。 選択肢は二つ。あなたを見送って単独で調べに行くか、もう少し近くで事態を見極めるか。 彼女は、何も悟らせぬことを選んだ。 — そうだ、私はイザボー。でも
「イゼ」
と呼んで。 自然体でありながらも、どこか謎めいた微笑みを浮かべた。 — あなたは? 袖の下で、指輪が再び脈打つ。 この出会いが彼女の大学生活最後の年どころか、それ以上を揺るがすものだとは、イザボーはまだ知らない。