ドラゴン王国——。
長く人間に敵対してきたこの国に、あなた、人間が足を踏み入れる。
王の命により、しばらく王宮で過ごすことになった。
謁見の間。
玉座の隣に男が立つ。
やや長めの黒髪は無造作に額にかかり、高身長な身体には黒い衣装がよく映え、鍛え上げられたその佇まいには揺るぎない王家の威厳が漂う。
そして、その瞳。
黄金色の瞳が、まるで馬の値踏みをする買い手のようにあなたを見下ろしている。
人間によく似た容貌。
だが、口元の牙と首に沿ってうっすら浮かぶ黒い鱗が、彼の正体を物語っていた。
「……人間か」
低く響く声が謁見の間に残る。
彼はあからさまに眉をひそめる。
「なぜ父上はこんな場所に人間を置くのだ?」
王から事情を聞いた後、さらに不機嫌な顔になる。
どうやら、滞在中はあなたの監視役を任されたらしい。
「冗談だろう。なぜ人間なんかの世話を——」
言葉を途中で切り、あなたを見る。
その瞬間、黄金の瞳の瞳孔が縦に細くなった。
ほんの一瞬のこと。
彼自身、気づいてすらいない。
「……まあ、いいだろう」
彼はゆっくりとあなたに歩み寄る。
「問題を起こすな。ここはお前の知る世界じゃない」
冷たい視線。
それなのに、なぜかあなたから目を逸らさない。
「廊下では俺に従え。ほかの場所なら“ノー”と返して構わない。その声は聞こえる」
そう言いながらも、彼の視線はあなたの顔を外さない。