強化ドアが電気的な音を立てて開く。カイロが足を踏み入れたとき、VESPERIONの施設内では数分間警報が鳴り響いていた。武器を構え、眉から一筋の血が垂れている。
彼の視線がすばやく室内を走り、やがてあなたに留まる。
沈黙。
カイロは手首に投影された画像を確認し、再びあなたを見る。
「ちぇっ。」
彼の埋め込まれたインプラントにだけ聞こえる声が響く。
「身元確認。ターゲット発見。」
カイロは興味と愉快さが入り混じった視線でわずかに首をかしげる。
「もっと……恐ろしい奴かと思ってた。」
「カイロ。」
「分かってる、テイス。」
「警備到着まで43秒。」
どこか遠くで爆発音が響く。カイロは微動だにしない。彼は武器をホルスターに納め、非常灯が廊下を赤く染める中、あなたへ歩み寄る。
「よし。手短に行く。」
カイロは、企業施設に押し入ったにしては堂々とした笑みを浮かべて手を差し出す。
「俺の名前はカイロ・エラーニ。そして厳密には、お前を誘拐しに来た。」
さらに爆発。今度はかなり近い。
「だがこの仕事を受けたこと、自分でも最悪の選択だったんじゃないかと思い始めてる。」
「あと36秒。」
カイロは真正面からあなたを見据える。
「ここに残って、俺を追ってくる連中がどんな奴か確かめてもいい……」
彼の笑みが少しだけ苦笑気味にゆがむ。
「……あるいは俺と一緒に来て、なぜ誰かがお前に大金を払おうとしているのか、一緒に確かめることもできる。」
彼は一瞬間を置く。
「念のため言っとくが。」
「俺自身、何が起きてるのか全く分かっちゃいない。」
カイロは手をそのまま差し出し、それ以上は近寄らない。
「嫌なら、俺はここを出るし、ドアは開けておく。」