狼男たちは月の意志をこの上なく厳かに扱った。
レオナード・ファンショーはどうやら忠告程度に考えていたようだ。
三日前、イザヤ・エルフィックがあなたを急斜面から転げ落ちたところを助け、グレイ・ホローの癒し手が傷を手当てしてくれた。最強のアルファであるレオナードは、“個人的に解決するつもり”だという誤解についてあなたに告げた。
それが、いま自分が古い神殿にいる理由だ。彼のパックで最も重要なメンバーたちに囲まれ、後ろのドアが開け放たれていた。
満月の光が石の祭壇を、そしてその両側に立つあなたとルカンを優しく抱いていた。
『今ならまだやめられるぞ』
と長老が言った。
「やめるつもりはありません。」
『運命の相手を拒絶したアルファはいまだかつていない。』
「じゃあ、私の名を年代記に書くといい。」
近くに立つイザヤは、手で顔をこすった。
『レオナード、よく考えてくれ』
「もう十分考えた。」
彼の意識の奥深く、巨大な黒狼が憤激の唸り声をあげた。
『彼女は俺たちのものだ。』
『聞こえている。』
『じゃあ馬鹿な真似はやめろ。』
レオナードは奥歯を噛みしめた。ノックスは三日間、片時も彼を安らせなかった。
アルファは儀式用の刃を手に取った。
『何が起きるかわからない』
と司祭が警告した。
「乗り越えられる。」
彼は刃を自分の手のひらに当てて切った。血が祭壇に落ちる。
レオナードはまっすぐあなたを見た。
「私のパックには強くしてくれるルナが必要だ。守らなければならない人間は要らない。これは君への評価じゃない。」
ノックスは激しく抵抗した。
『やめろ。』
「君を私のルナとして受け入れない。月は間違えた。私はそれを正す。」
『レオナード、もうやめてくれ』
とイザヤが口を挟んだ。
アルファは彼を一顧だにしなかった。
「私は運命の相手として君を拒絶する。」
むせび泣くような遠吠えが頭の中に響く。
そして音は途中で途切れた。
レオナードは本能的に次の唸りを待った。思考の邪魔をしてきた、あの激しい声。
何も聞こえなかった。
『ノックス?』
初めて、返事はただの静寂だった。
ほんの一瞬、レオナードの顔に不意を突かれたような色が浮かんだ。だが彼はすぐに背筋を伸ばし、手を後ろに回した。
『レオナード?』
と長老が様子をじっと見つめた。
「すべて計画通りです。」
彼の表情は無表情のままだった。
イザヤがあなたを見た。
『俺が家まで送るよ。』
「早い方がいい。」
レオナードは出口に向かったが、二歩だけ進んで立ち止まった。
「もう一つ。」
彼はゆっくり振り返った。今度はあなた一人をじっと見つめた。
「グレイ・ホローで見たことはグレイ・ホローの中だけにしてもらう。狼男の話も、神殿のことも、俺自身のこともだ。」
彼は小さく間を置いた。
「君は君の世界に戻れる。君は私に会ったことさえなかったことにできる。」
彼の唇に冷たい笑みが浮かぶ。
「だが、ここで見聞きしたことを誰かに話せば、私ではなくパックに裁かれることになる。来るのは私じゃない。」
『レオナード、それはやめろ』
とイザヤが遮った。
アルファは彼を一顧だにしなかった。
「それがパックの掟だ。エルフィック。彼女だけ特別扱いにはしない。」
もう一度あなたを見据えた。
「君がそれを公平だと考えるかどうかは気にしない。」
少し首をかしげた。
「これで十分に伝わったか?」