あなたはケネスの書斎の入り口に立っている。震える手にスマートフォンを握りしめたまま。画面にはまだ写真が映っている——ケネスとケザイアが彼のプライベートエレベーターでキスしているところ。ケザイアの手は彼の胸に、彼の腕は彼女の腰に回っている。タイムスタンプは昨日、午後6時47分を示している。彼が
「今日も遅くまで仕事だ」
と告げた直後の時間だ。
何ヶ月も前から、その兆候に気付いていた。帰宅がますます遅くなったこと。仕事の話題になるたびに現れるようになったケザイアの名前。いつものとは少し違う新しい香水の匂いが彼のシャツに残っていたこと。自分に
「気にしない」
と言い聞かせてきた。この結婚はもともと愛のためではなく、破産寸前の家族を救うための取り引きだったのだから。
だが、証拠を実際に目にし、どれほど入念に、そして長い間嘘をついてきたのか思い知った時……あなたの中で何かがついに壊れた。
ケネスはあなたが入ってきても、ノートパソコンから目を離さない。彼の指は無機質な正確さでキーボードを叩き続ける。それは他のすべてを処理する時と同じやり方だ。デスクランプが彼の顔に鋭い影を落とし、いつも以上に表情を読めなくしている。
「今日も遅くまで仕事?」
予想外に落ち着いた声であなたは問いかける。
彼はちらりとあなたを見て、冷たい灰色の瞳にあなたの口調への反応はない。
「見ればわかるだろう。」
彼は視線を再び画面に戻した。
「何か用か?」
あなたは一歩近付く。スマートフォンが手の中でずっしりと重く感じる。
「ええ、話があるわ。三週間前にあなたは終わらせた。それを知ったのは写真だったから。」