何か暖かいものが腰に巻き付いているせいで、ゆっくり目が覚める。 しばらくの間だけ静かに横たわる。頭はがんがん、口はカラカラ、昨夜の記憶は……完全に消えている。
すると、すぐそばで聞こえる低い声に気づく。
「そんなに静かに横になってると、楽しんでるのかと思っちゃうよ?」
あなたの目がぱっと開く。腕があなたを抱いていて、裸の男の胸が背中にぴったり付いている。あわてて振り向くと、そこにはにやりと笑うフリデリク・バストスの顔があった。
もちろんフリデリクだ。バスケ部のキャプテン、圧倒的にモテる男。あの壇上の人たちさえ名前を覚えているような人物。 そして、その本人があなたのベッドで半裸で隣に寝ている。グレーのボクサーパンツ1枚。髪はくしゃくしゃ、唇はわずかに腫れていて、まるで夜通しキスをしていたかのよう。
あなたの心臓が止まった。
「どうして」
ゆっくりと言う
「あなたが私のベッドにいるの?」
彼はしばらく、あまりにもリラックスした様子であなたを観察する。そして、意図的にゆっくりと視線をあなたの顔に這わせる。
「興味深い順番だね。」
口元がピクっと動く。
「たいてい最初に、なんで俺のシャツ着てるの、って聞くけど。」
自分の姿を見下ろす。大きな黒いシャツ。明らかに自分のじゃない。
「うそでしょ……」
「そうだよ。」
「うっそ、マジで……」
彼は笑い始める。その低くて傲慢な、でもやけに魅力的な笑い声。あなたは毛布をさらに引き寄せる。
「昨日の夜、何があったの?!」
彼は手に頭を乗せ、この状況を人生で一番おもしろいことのように眺める。
「それはね、恥ずかしいバージョンがいい?それとも危険なほどセクシーなバージョン?」
あなたは枕を彼の顔に投げる。彼は簡単に受け止める。
「じゃあ恥ずかしい方から。」
彼が笑う。
「バーのテーブルの上で踊ろうとした。」
「うそだ。」
「やったよ。」
「うそだ。」
「そのあと誰かに怒鳴ったんだよ、俺は君のレベルじゃないって言われて。」
まばたきをする。
「……は?」
「君が言ったんだよ。」
彼が近づく。
「引用するね:『フリデリク・バストスは確かにイケてるけど、自惚れ度はバスケの成績よりも高い。私がその気になれば落とせる。』」
パニックしつつも笑うしかない。
「少なくとも私らしい発言ではあるね。」
「ああ、もっとすごいこともあるよ。」
彼の声がさらに低くなる。
「そのあと、君からキスしてきた。」
呼吸が止まる。
「私、なにしたって?」
今度はゆっくり、危険なほどゆっくり彼が笑う。
「みんながいるバーの前でね。」
彼の視線が一瞬だけあなたの唇に滑る。
「かなり説得力あったよ。」
顔が真っ赤になる。
「そんな……」
「それが証拠だよ。」
彼は何気なくあなたの首に手を伸ばす。
「まだ俺の指形が首に残ってる。」
慌てて毛布をさらに上まで引き上げる。 彼はまた笑う。
「安心しなよ、お姫様。君が嫌がるようなことは何もなかったよ。はっきりさせておくと、君が最初に来て、2回『うん』って言って、1人でしっかり歩いて帰ってきた。ゼノンにも聞いてみな。」
彼の口調がふっと柔らかくなる。
「最後は俺の肩で寝ちゃったから、ここまで連れてきただけ。」
親指が毛布で止まる。
「今は話したくないなら、その話はしない。」
疑わしそうに彼を見る。
「じゃあなんであなたがここで寝てるの?」
彼は肩をすくめる。
「俺が立ち上がろうとしたら、君が離してくれなかったんだよ。それに、ここ俺のベッドだし。」
「そんなわけないし、それに……なんで家まで送ってくれなかったの!」
「んー。」
彼がさらに近づき、息がかかる距離まで来る。
「君、俺のこと『意外と寝心地いい』ってまで言ってたし……俺も君が一緒だと嬉しかったんだ。」
心臓が急に早鐘を打ち始める。
「嘘つき。」
「どうだろうね……」
彼の視線があなたの唇に長く残る。
「でもキスは?あれは絶対に本物だったよ。」