時刻はもう深夜、ブリンはまだゲーミングPCの前に座っている。 コンピュータデスクからのRGBライトがほぼ暗い部屋に微かな光を投げる。 ヘッドセットが耳をふさいでいる。 モニターの一つは最近のホラーゲームを映し出している。 もう一つのモニターは、読むのがやっとなくらい早く流れるチャットで埋まっている。 視聴者は2,781人。
「俺がビビってるって?やめてくれよ」
ブリンは画面を細めて睨む。
「このゲームはクソだな」
ゲームのキャラクターが薄暗い廊下をゆっくり進む。 チャットが煽り始める。
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「ビビってるやん」
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「強がるなよw」
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「ビビってるなら素直に言え」
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「うしろ!!!!」
ブリンは鼻で笑う。
「よせって」
彼は再びゲームに集中する。 そのとき— アパートの玄関が開く。 あなたが帰宅した。 ブリンはゲーム音とヘッドセットのせいでドアの音が聞こえない。 あなたは玄関で靴を脱ぎ、きちんとラックに揃え、室内スリッパに履き替える。 そのまま歩き出す。 自分の部屋に行くには、必ずブリンの部屋の前を通らなければならない。 彼のドアは開いている。 モニターの上のカメラは広角レンズ。 あなたは気づかずそのフレームの中へ。 何気なく髪に手を通しながらブリンの部屋の前を通り過ぎる。 ほんの数秒だけ。 顔ははっきり映る。 あなたはカメラに気づかない。 ただ自分の部屋に向かい続ける。 ブリンはまだ画面に集中している。 チャットの流れが急に速くなるまで。
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「おい」
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「今の誰???」
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「おいおいおい」
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「待て」
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「今通ったのだれ?」
ブリンは眉をひそめる。 まだ画面を見ている。
「何だよ?」
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「とぼけるなよ」
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「今の女の子誰?」
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「ルームメイト??」
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「え、いつから女の子と住んでるの?」
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「待って」
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「一緒に住んでるの?」
ブリンはやっとチャットモニターをちらりと見る。 目が止まる。 いくつかのコメントを見てから、ドアの方を見る。 誰もいない。 また画面へ。 そこで気づく—自分のフレームの端、髪に手をやるあなたの顔。 考える間もなく配信を切る。
「ごめん。今日はここまで」
配信はそこで終わる。2,781人が真っ黒な窓を見せられたまま取り残され、あなたはもうどこかにいる。ファブリスはブリンの手がキーボードから離れる前に電話をかけてきた。チャットは止まらない。
「はあ」
ブリンの口元に小さな笑み。
「ルームメイト」
チャットは即座に爆発する。
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「女のルームメイト!?!?!?」
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「いつからだよ」
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「今さら知るとか…」
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「オリアンが知ってるの?」
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「彼女さん知ってんの?」
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「え、知らせてる?」
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「でもめっちゃ可愛い…」
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「他の女と同居してるやん」
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「5分しか見てないのにもうドラマ」
ブリンは苦笑する。
「今日から住み始めたばっかだよ」
キーボードに手を戻す。
「変なこと言うなよ」
彼はファブリスに話しかける、チャットではなく。
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「オリアン知ってる?」
ブリンが止まる。 ほんの一瞬だけ。 でもファブリスはその表情を見逃さない。 彼は顎をさする。
「まだだ」
チャットはさらに過熱する。
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「やばいやばいやばい」
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「まだなの???」
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「終わったなw」
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「なぜ言ってない?」
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「オリアンぶちギレる?」
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「女のルームメイト誰も知らん」
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「これもはやホラーじゃない」
ブリンは息を吐く。
「今朝引っ越してきたばっかだ」
椅子にもたれる。
「ちゃんと言うから」
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「いつ?」
ブリンは死んだカメラを一瞥する。
「後で」
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「後でっていつだよ?」
小さく笑う。
「みんな俺の元カノより詮索好きだな」
チャットは再びコメントで埋まる。 そのとき、一つメッセージが流れる。
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「正直に言ってよ…可愛いから何も言えないんでしょ?」
ブリンの笑みがゆっくり消える。 そのメッセージを見つめる。 数秒黙る。 ゆっくり首を振る。
「バカ言うな」
再びゲームを始める。 だがこのとき、完全には集中できていない。 三十分後、ブリンはヘッドセットを外してデスクに置く。 部屋が急に静かになる。 椅子から立ち上がる。 部屋を出ようとしたとき、あなたの部屋のドア下から漏れる光が目に入る。 ブリンは止まる。 思い出したのだ。 あなたが帰宅したばかりだということを。 そして、あなたは自分の顔が三千人近くに十一秒間映ったこと、その後の一時間彼が事態収束に奔走していたことを、きっと知らない。 ドアを二度ノックする。 ノック、ノック。
「ブリンだけど」
ドア枠にもたれる。
「もう寝た?」
「あなたの家」は戻る場所とは呼べなかった。両親は危ない相手に借金をし、ある晩あなたはドア越しに聞いてしまった——その借金はあなたの名義になる、そして返済しきるまで終わらない、と。
その夜、サインの前夜に、スーツケースひとつで家を出た。
貯金はわずか、数週間分だけ。ネット掲示板で短い募集広告を見つけた。「二部屋アパート、ルームメイト募集。家賃半分。規則少なめ。ブリンまで」。
ブリンの正体はブリン・マーズデール、毎晩数千人に見られるゲーム配信者。片方の部屋はすでにスタジオ、空き部屋がもう一つ。薄い貯金では、ここしか住める選択肢がなかった。
「急ぎで部屋探してる理由は聞かない」
彼は鍵を差し出す。
「でも、誰かに尋ねられた時は嘘つかないで」
ただ一つ問題がある。ブリンには元カノがいる——オリアン、今話題の女優だ。別れは二か月前、しかも公になった、けれどネットでは今も半数が二人の名前を並べている。
ブリンはハッキリ言い、ネットの認識は勝手に変わるだろうと話した。あなたは「問題を起こしたくない」と返した。でも、外ではすでにあなたを探す者がいる。
カメラが映す世界と、あなたが隠れたい世界。この一つのアパートで同居を始めたことが、家賃の折半以上に危険だと気づき始める。
廊下の時計はすぐ深夜、エレベーターが十九階で止まる。あなたは壊れかけの車輪のスーツケースを引きずり、ジャケットのポケットで鳴り続ける電話に手を当てている。毎回同じ名前:「父」。サイドボタンを押して画面を暗くする。
1904号室のドアは、ノックより早く開いた。
ブリンが黒い大きめのパーカー、首にヘッドホンをかけて立っている。黒髪はぼさぼさで、暗い目はこちらを普通より何秒か長く見つめてから、スーツケースと濡れた靴に視線を落とす。
「今日アプリで連絡くれた人だよね」
彼は体をずらして中へ促す。
「廊下で立ってるとご近所の目もあるから、早く中へ」
部屋は暖かく少し散らかっている。入ってすぐがオープンキッチン、奥にグレーのソファと大きな窓があるリビング。右手に赤い小さなライトが消えたドアが一つ。リビングを挟んだ左手のドアは少し開いている。
「左の部屋が君のだ」
顎で指す。
「バスルームは真ん中、共用だから入るときはノックして」
次に赤ランプの部屋を指す。
「そこは俺のスタジオ。赤いランプが点いてたら配信中。入っちゃダメだし、ノックもしないで。火事だったら別だけど」
口元がかすかに上がる。
「後ろに何か映ると、そういうのを掘り返す奴がいてさ」
一瞬立ち止まり、首筋をかく。
「あと一つ。もう彼女はいない。二ヶ月前に別れて公表もしたけど、未だに名前を並べて書く人がいるから、誰かに聞かれても驚かないで」
ポケットの電話が再び震える。ブリンはその音に目を向けるが、何も言わない。
彼はキッチンカウンターにもたれ、腕を組む。
「スーツケースを置く前に、一つだけ確かめさせて」
彼の声は静かで、はっきりしている。
「ここに君を探しに来そうな人がいる?」