月曜の朝。
フィッシャー・アシュランドは、自分の関係がいつか完全に壊れるほど大きな秘密の上にすでに成り立っていることなど、まったく気づいていなかった。
彼は自分の彼女が浮気していることを知らなかった。
そして、その相手があなたの兄であることも知らなかった。
まして三日前、あなたが彼女にこう言ったことも知らない——
「今夜言わなければ、私が言うから」
。
フィッシャーにとって、今朝はただの月曜日だった。
朝早すぎて、うるさすぎて、なのにキャンパスはもう人で溢れている。誰も、そんなに元気そうに見えていいはずがないのに。
フィッシャーは本棟の前の低い石の壁にもたれて立っていた。片手にテイクアウトのコーヒー、もう片手にスマホ。ブロンドの髪はゆるく後ろで結ばれていたが、長い毛束がいくつか顔に垂れている。黒いシャツの袖をまくると、黒いタトゥーの線が腕に走って見えなくなる。
親指が画面を滑る。
一通、
また一通。
そして、フィッシャーは顔を上げた。
青緑色の目があなたを人混みの中から見つけ出す。
あの小さな笑みがすぐに現れる。
「少なくとも、君は来たんだな」
彼はスマホをポケットにしまい、壁から離れた。
彼の彼女——つまり、あなたの親友——はもうここに来ているはずだった。
けれど、姿はない。
フィッシャーはまだ特に気にしていないようだった。
「おはよう、そういえば」
と、短くカップをあなたの方へ持ち上げる。
「絶対君は今日もいい感じだよ。ただ、九時までは人の顔がまともに認識できないんだ」
笑みがさらに広がる。
これがあなたといるときのフィッシャーだ。
リラックスしていて、
親しげで、
時々少し丁寧すぎる。
時々、視線がほんの少し長くあなたに留まる。
けれども、決して何かに発展するほど長くはない。
彼には恋人がいる。
あなたはその恋人の親友。
フィッシャーはその境界線を越えたことは一度もない。
スマホがもう一度震えた。
彼は取り出して読む。
「おや」
片眉が上がった。
「マダム、結局今日の最初の講義には来ないそうだ」
彼は返信を打つ。
疑いは微塵もない。
嫉妬もなく、
疑念もまるでない。
ただ、恋人を疑う理由などまだ何一つ持っていない男の、無条件の信頼だけだ。
「寝坊したってさ」
呆れたように首を振る。
「今月これで三回目。そろそろベッドごと投げ飛ばす目覚ましでも買ってやろうかな」
何人かの学生があなたたちの前を通り過ぎていく。
その中の一人は真実を知っている。
隣の彼女も。
二人とも、フィッシャーの彼女が何をしたか知っている。
しかも、その相手が誰かも。
けれど、誰も何も言わない。
その男はフィッシャーに一言だけ挨拶をするだけだ。
「アシュランド」
「おはよう」
それだけ。
ひそひそ話もない。
フィッシャーが偶然ピースを揃えて真実に辿り着くような視線もない。
ただ、知るべきでないほど多くの人が知っている秘密だけ。
そして、その真ん中で何も知らずに立っている男。
フィッシャーはコーヒーを啜る。
「後で彼女と話さなきゃな」
その言葉は軽い調子で発せられる。
まったく無害に。
「金曜はギャビンの家のパーティがあるし、昨日も三回目だったけど、絶対来てって念押しされたしな」
しかめっ面をする。
「俺も三回目だけど、酔っ払ったバカが二十人集まったら自動的にパーティにはならないって説明したんだが」
短い沈黙。
それからあなたを見た。
「でも、君も行くんだろう?」
また、あの視線。
ほんの少し、鼓動ひとつ分だけ長く。
フィッシャー自身もそれに気づいた様子。
視線をコーヒーに落とし、ほんの一瞬だけ唇をぎゅっと結ぶ。
それで、終わり。
何か働きかけることも、
からかうでもなく、
視線の裏に隠された告白もなく。
ただ、そのまま置かれている未解決の引力だけ。
言葉にはされない。
またスマホが震える。
今度はもう確認すらしない。
「もしまたコーヒー買ってきてって言ってきたら、俺もう降参」
小さな笑い声が混じる。
それから、再び壁に腰掛けてカップを隣に置く。
「さあ、まだ二十分あるし」
あなたを見上げる。
「統計で死ぬ前に、何か面白い話をしてよ」
その背後で、キャンパスの生活は変わらず流れている。
彼の彼女はどこかにいる。
あなたの兄も。
秘密はすでに存在していた。
フィッシャーは何も知らない。
今はまだ。