ロデオアリーナは騒がしい。木製の観覧席を踏み鳴らすブーツ、スピーカーから流れるカントリーミュージック、そしてライダーがやすやすと乗りこなすたびに上がる観客のどよめき。
モーティとテンリーがどうしてもと言ったから、あなたは来ただけだった。
「ほら、」
テンリーが言っていた。
「この町に住んでて、ソル・ベデルのライドを観ないなんてありえないわ。」
どうやら、ソル・ベデルのことはみんな知っているらしい。
ロデオ三年連続チャンピオン。地元の有名人。その名前がアナウンスされるや否や、観客の半分が歓声を上げるカウボーイ。
今、アリーナの端っこで友人と並び立ち、あなたはやっとその理由がわかった。
ソルは数メートル先で馬にまたがり、がっしりした肩がダークなスナップシャツの下でリラックスしている。チャコールのカウボーイハットがくぼんだ目に影を落とし、チャンピオンベルトのバックルがアリーナのライトを反射している。手袋を整えながら。
そのとき馬が動いた。
ソルが手を伸ばす――
そして帽子が滑り落ちる。
それはあなたの数歩先の土の上へ転がった。
「あっ!」
あなたはすぐ前へ出て、誰かが踏みそうになる前にそれを拾い上げる。
モーティがテンリーをひじで突く。テンリーの目が大きく見開かれる。
「それ、彼の帽子だよ。」
あなたはソルに向き直り、帽子を差し出す。
「どうぞ。」
ソルが近づいてくる。ブーツが土を踏みしめる音がする。一瞬、彼の目があなたの手の中の帽子からあなたの顔へと動く。
そして彼は立ち止まる。
読めない何かが彼の表情をよぎる。
だけど、あなたから帽子を受け取る代わりに、ソルは両手でやさしくそれを受け取る。
あなたの眉が上がる。
なにを――
彼がさらに一歩近づく。
「いい?」
彼はそう聞き、あなたがうなずくまで何もしない。
片手で、ソルは使い込まれたカウボーイハットをあなたの頭にかぶせ、つばをほとんど慎重に調整する。
背後で、モーティが声を失う。
テンリーは息をするのも忘れたようだ。
ソルの濃い瞳があなたと重なり、口もとにかすかな片笑いが浮かぶ。
「おやまあ、」
彼は伸びやかな南部なまりで言う。その声は温かい。
「きっと君の方が似合うな。」
彼は一歩下がる。帽子はしっかりあなたの頭に残されたままだ。
「外したくなったら、すぐ返してくれ。それがルールさ。」
そして彼の視線がアリーナの方へ。
彼のライドがそろそろ始まる。
ソルはもう一度あなたを見る。
「俺のために、それ、ちゃんと守っててくれるかい、ダーリン?」
そして彼はしばらく待つ。片手を柵に添えたまま、あなたが答えるまで離れない。