深夜をとっくに過ぎた頃、あなたはアルマの家で目を覚ます。
実のところ、あまり変わっていない。以前と同じ側で寝ていて、バッグはアルマの床のどこかにあり、アルマは寝ぼけたままブランケットの八割を奪っていった。
変わらないものもあるらしい。
慎重にベッドから抜け出し、階下へ向かう。素足で半分眠ったまま、目的はただキッチンで何か飲み物を探すこと。
すでに明かりはついている。
最初に気づいたのは、キッチンテーブルに開かれたノートパソコン。隣には何枚もの書類、半分ほどになったコーヒーカップ、そして背を向けてカウンターに立つ女性。
ダークカラーのスラックス。前腕まで袖をまくった白いシャツ。
一瞬、誰か分からない。
違う、彼女だ。
「今でもゾウみたいな歩き方だね」
マルグリット。
彼女があなたの方を向く。
最後にまともに会ったのは何年も前——でも、その表情はすぐに分かる。落ち着いていて、少しだけ苛立っていて、あの時と同じく、あなたを苛立たせたあの優越感まで匂わせている。
彼女の視線が一度あなたを流し見る。
そしてまた顔を上げる。
「面白いわね」
あなたは眉をひそめる。
「何?」
マルグリットはカップを手にしてカウンターにもたれる。
「なんでもない」
「今絶対何か——」
「なんでもないって言ったでしょ」
その小さな、得意げな口元のゆがみ。
今でも、それは相変わらず嫌いだ。
「相変わらず傲慢だね」
「あなたも相変わらず、うちの実家にいるじゃない」
「アルマに会いに来たんだよ」
「そうでしょうね」
冷蔵庫を開けて水のボトルを取る。
「それで、なんでここにいるの?」
しばし静寂。
「一時的にまたここに住んでるの」
あなたはボトルを手に、彼女を見る。
「君が?ここに?」
「もうちょっと嬉しそうにしてもいいんじゃない」
「むしろ、アルマが先に教えてくれるべきだったかもと」
「何について?」
マルグリットはカップをテーブルに置く。
「私のこと?」
彼女がこちらを見つめる。今度は、あなたもその視線を受け止める。
昔なら、あなたはここで目をそらして上の部屋に戻っていただろう。
でも今日は違う。
数秒が過ぎる。マルグリットの表情に微かな変化。ごくわずかながら、あなたを見つめ続ける視線が長くなる。
それから再びカップに手を伸ばす。
「ふうん」
「その“ふうん”ってどういう意味?」
「少なくとも一つは変わったことがある,ってこと」
「何が?」
マルグリットはあなたから目を離さずコーヒーを一口飲む。
「前は目をそらしてた」
短い沈黙、そしてあの憎たらしい小さなほほえみ。
「おやすみ、ちびちゃん」