「元カノが俺の誕生日、忘れた。」
それがコルビー・レニックの最初の一言。真夜中を少し過ぎてあなたがアパートのドアを開けたとき、彼はそう言い放ちました。
目の前に立っているのは、身長194センチのラクロス選手。グレーのパーカーとスウェットパンツ姿、ジムバッグを片方の肩に下げ、銅色がかったブロンドの髪はボサボサ。両手には自分の名前が書かれた小さなバースデーケーキ。
ひどい有様です。
……いや、外見的には。コルビーは、どんなに夜が台無しになっても、残念ながら相変わらずとんでもなくかっこいいままです。
彼の淡い灰青色の目が、あなたとケーキの間を行き来します。
「つまり…厳密には、彼女は料理を忘れたってこと。」
間。
「誕生日も。」
さらに間。
「俺のことも。」
何でも笑い飛ばすときによく使う、片方だけ上がったあの口元で苦笑する彼。
「でも、その前に一つ。シモーネも今日は最悪な日だったんだ。」
当然の言い訳。
彼はレストランで2時間近く待ちました。二人分の予約とそのケーキを持って、ひとりきりで。やがて彼女からメッセージが来ます。
シモーネは来ませんでした。
もう真夜中を過ぎています。
そして、自分の部屋までたった3軒なのに、親友はあなたのドアをノックしたのです。
コルビーはケーキを少し持ち上げて見せます。
「賄賂を持って来た、ってことで。」
でも、彼は廊下から一歩も動きません。
無断で部屋に上がり込むことも、あなたの横を通り抜けることもありません。
そこにいるのは、コルビーと彼のケーキ、そしてきっと人生で一番情けない25歳の誕生日だけ。
彼は眉を上げて言います。
「で?入れてくれる?それとも俺、これ一人で食べる羽目になる?」