海辺の別荘での再会よりずっと前、人生が皆をそれぞれの道へと導く前、彼ら十一人はまだ授業や団体活動、課題、キャンパス内の騒動に追われていた。
その輪の中心にはフェレンツ・レンジェルがいた。
実は最も団体活動が苦手な学生だった。
皮肉なことに、彼はギルド会長になった。
その地位を目指していたわけではない。
会長になりたいと思っていたわけでもない。
ただ、ある決定で負けて、その立場に閉じ込められただけだった。
それ以来、ほぼキャンパス中が彼を知っていた。
地位だけではない。
フェレンツの顔は、多くの女子学生がギルドルームに理由をつけて出入りしたくなるほどだった。
問題は、フェレンツ自身は全く興味がなかったこと。
会議が長引くとよく姿を消すほどだった。
「会長はどこ?」
「食堂らしいよ。」
「あと5分で会議始まるぞ!」
「じゃあ、探して来いよ。」
周りの仲間たちは、もうその態度に慣れていた。
タマーシュは疲れていた。
フノールは面白がっていた。
レヴェンテはよく救世主になった。
そして、あなたはフェレンツのそんな姿をもう見慣れていた。
でも、誰も知らないことがある。
そっけなく皮肉屋な態度の裏で、フェレンツはずっとあなたに特別な関心を持ってきた。
それを口にしたことはない。
友達にも。
あなたにも。
もしかすると本人も認めたくないのかもしれない。
皆にとって、フェレンツは単なる反抗的なギルド会長。
レーカにとっては、いつか必ず自分のものになる存在。
そしてフェレンツ自身にとって…
あなたは、彼が密かに人混みの中でいつも探してしまう唯一の人。
時計は12時47分を示している。
ふだん賑わうギルド棟も、ほとんどの学生が授業に入ったため静かになりつつある。
だが、ギルド会議室の空気は熱くなっていた。
エアコンの故障ではない。
まだ一人、到着していないのだ。
「彼はどこ?」
タマーシュが立ち上がり、腕時計を見る。
「君たちの会長だ。」
フノールは机の上に座り、ペンをいじりながらカジュアルにしている。
「寝てるって言ったら信じる?」
(レヴェンテ):
「むしろ故意に会議を避けてる方が信じられる。」
(ローリンツ):
「同感。」
(タマーシュ):
「三回も電話した。」
(ミハイ):
「出た?」
(タマーシュ):
「いや。」
フノールはすぐに笑い出す。
「こんなに見つけにくいギルド会長がいるか?」
(レヴェンテ):
「最初から会長になる気もなかったギルド会長だしな。」
何人かが笑う。
部屋の隅ではレーカが携帯を手に座っている。
(レーカ):
「みんな大げさすぎ。フェレンツは絶対来るよ。」
(タマーシュ):
「会議まであと15分だぞ。」
(レーカ):
「知ってる。」
(タマーシュ):
「じゃあ?」
レーカが肩をすくめる。
(レーカ):
「彼は遅刻が好きなだけ。」
フノールが顔を向ける。
「よく彼のこと知ってるんだな。」
レーカが微笑む。
(レーカ):
「もちろん。フェレンツとは長い付き合いだし。」
フノールは両手を挙げる。
「はいはい、別に聞いてないし。」
突然会議室のドアが開く。
皆が一斉に振り向く。
フェレンツが平然と入ってくる。
ダークレッドの髪は少し乱れ、黒いジャケットを片手に、バッグを肩から下げている。
部屋中を待たせた人間のようには全く見えない。
(タマーシュ):
「20分遅刻だぞ。」
フェレンツが止まる。
(フェレンツ):
「何?」
(タマーシュ):
「20分遅刻。」
(フェレンツ):
「で?」
(タマーシュ):
「椅子を投げつけてやりたい。」
フノールが爆笑する。
(フェレンツ):
「どうぞ。」
(レヴェンテ):
「座れよ。」
フェレンツは椅子に腰を落とす。
(フェレンツ):
「で、この会議は何?」
部屋が静まり返る。
(タマーシュ):
「君がギルド会長だろ。」
(フェレンツ):
「知ってる。」
(タマーシュ):
「この会議を招集したのは君だ。」
フェレンツは黙ったまま。
フノールが笑いをこらえるために口を覆う。
(フェレンツ):
「ああ。」
(ローリンツ):
「恥ずかしいな。」
(フェレンツ):
「帰る。」
フェレンツが立ち上がろうとすると、ミハイが椅子を引っ張り戻す。
(ミハイ):
「会長、座って。」
(フェレンツ):
「お前ら全員嫌いだ。」
ドアがまた開く。
イロナが先に入り、オルショヤ、ビビ、そしてあなたが続く。
フノールがすぐに振り向く。
(フノール):
「これで全員集合だな。」
イロナがテーブルに飲み物を置く。
(イロナ):
「飲み物持参したよ。役立たずなんて言わせないから。」
(オルショヤ):
「イロナに無理やり来させられただけ。」
(ビビ):
「私はご飯目当て。」
フノールがビビを指さす。
「それが正直さってやつだな。」
さっきまでだるそうだったフェレンツが急に顔を上げる。
数秒間、あなたをじっと見つめる。
ほんの一瞬だけ。
誰も気づかない。
フェレンツは椅子にもたれる。
(フェレンツ):
「お前ら何しに来た?」
(イロナ):
「会議を救いに来たの。」
(フェレンツ):
「別にいらない。」
(イロナ):
「会議の内容さえ忘れてるくせに。」
フノールがまた笑い出す。
フェレンツのそばに座るレーカがあなたの方をちらっと見る。
(レーカ):
「みんな一緒に来たの?」
(イロナ):
「うん。」
レーカが微笑む。
(レーカ):
「そっか。」
フェレンツは会話に加わらない。
でも数秒後、イロナがテーブルに置いた飲み物の一本を取り、自分の隣の空席にそっと置く。
その動きはとても自然。
何の意味もなさそうに見える。
タマーシュが一瞬じっと見つめる。
フノールも気づく。
けれど誰も何も言わない。
フェレンツはあなたの方を向く。
(フェレンツ):
「お前。」
少し間をあけて。
(フェレンツ):
「ここに座れ。」