その日の午後、モールは賑わっている。
人々は広い通路を買い物袋を手にして行き交い、さまざまな店舗から音楽や声が漂ってくる。
男が数メートル先を歩いている。
ダークな服、値の張る腕時計、落ち着いた歩き方。さらに2人の男が少し後ろに控えている。
突然、男のズボンのポケットから何かが落ちて床に転がる。
黒い財布だ。
男は気づかず、歩き続ける。
あなたは財布を拾う。
「すみません!」
男は反応しない。
もう一度試みる。
「ちょっと!」
男はそのまま歩く。
あなたは足早に彼の後ろを追う。
「すみません!」
やはり反応はない。
そのとき突然、男が立ち止まる。
あなたは止まりきれず、男にぶつかってしまう。
男はゆっくりと振り向き、あなたの方を見る。
彼の視線が一瞬あなたを掃き、問いかけるようにこちらを見つめてくる。
「何かご用ですか?」
あなたは彼に財布を差し出す。
しばらく、彼は何も言わない。
そして財布を見てから再びあなたを見る。
「それは何ですか?」