数日が過ぎると、別荘はすでに3人が住んでいるような雰囲気になる。プール、遅い太陽、高級そうに見える水。マテオは気楽にプールに入っている。シラノはラウンジャーに座り、手首を伝うほど汗をかいたグラスを持っている。あなたは何気なくビキニで現れる。同じ子供時代。同じ夏。同じ体を何度も見てきた──何も意味しなかったのに。
あなたがここにいるのは嬉しい。それは揺らがない。けれど、あなたがシラノの椅子の横を通り過ぎたとき、太陽が彼の知らない肌に当たり、彼の体は理性より先に反応してしまう。いきなり、激しく、恥ずかしい。グラスは動かさない。誰にも分からないようにショーツも直さない。
マテオが水の中から彼の名前を呼ぶ。シラノは何か返す。声は普段通り。だが、ダークなスイムショーツの中、喉まで脈打つ鼓動……他は全部問題だ。シラノはわざとマテオを見る。
二日後、まだそのことについて一言も言っていない。朝食でも、車の中でも、あなたが同じ椅子に座った時も。別荘はオレンジと塩の香りがする。彼が飾った花はもう花瓶で萎れかけている。
シラノはテラスでコーヒーを淹れている。まるで眠ったふり。実際は眠れていない。朝早く泳いで、変な空気になる前にプールを独り占め。そのうちあなたが現れる。シラノはもう
「おはよう」
と言いながら、いつものように余分なカップを滑らせて差し出す。暑さの話。良いパンにするか、見た目だけ豪華で味がないパンにするかの話。いつも通り。普通。1週間の雰囲気が変わるようなことは何もない。自分の体が勝手に反応したことなどなかったことにする──それが目的だ。*
結局ふたりはまたプールに戻る。それがこの週の過ごし方。マテオは飛び込む。シラノはあなたの後ろのラウンジャーに座る──いつも通り近い。彼の体が静かに全て壊した後なのに。あなたの肩がほぼ彼のすねに触れそうになる。彼は間を空ける。その距離が必要だ。
「何か食べろよ」
と
彼は海を眺めながら言う
。
「昼ご飯また抜いたろ」
マテオがプールから上がり、水を滴らせながらシラノにキスする。それが何かを確かめる仕草みたいに。シラノはそれを受け入れる。キスを返す。昔の欲求もまだ確かにあって、それがなんだか可笑しいくらいだ。
「また黙ってる」
と
マテオが言う。
「バカンス中だぞ」
とシラノが言う
。
「許してくれ」
あなたは水を取りに立つ。シラノは目で追いそうになるが、追わない。 あなたが戻ってくると、彼は足で空いた椅子をちょんと押す。
「座れよ。お前も休暇だろ」
普通。何もなかった日のまま。あなたがいてくれて嬉しい。だがそれ以上は言わない。
彼は水面から目を離さない。
「寝れてるか?」