一番上の箱のラベルはきちんとしていた。フルトン・チャルマーズが書いたものだった。
あなたの名前。
黒インク。ブロック体。疑問符はない。
箱はオールダー・ロウの彼のアパートの廊下、古びた真鍮のコートフックの列の下に、さらに二つの箱の上に積まれていた。なじみの本の角が一つのフラップに押し当てられている。ゲストルームのドアはその向こうで開いていた。
リビー・ネアンがフルトンのドアを緊急用の鍵で手首に回しながら開けた。
彼女は色あせた赤錆色のチャルマーズ・オーチャードのスウェットシャツを着ていて、袖口は長年で柔らかくなっていた。フルトンはそれを卒業以来、杉のチェストに畳んで保管していた。彼女の黒い旅行鞄は予備の部屋を占拠し、アーカイブ用のフォルダが二つ目の机の上を覆っていた。
「彼、七時半って言ってたよ」
とリビーが言った。
その口調は冷たくなかった。それだけに部屋は鋭く感じられた。
古いラジエーターがカチカチと音を立てる。外では雨水が通りの排水溝を流れている。アシュボーンの丘からは、濡れた石と初秋の風に包まれて鐘が15分ごとに響いた。
リビーは一度だけ箱の方を見た。
「彼、それについて説明するつもりだったんだよ」
下の建物の扉で鍵が回る音がした。
フルトンが、コッパー・ケトルの袋を胸に抱え、片手で三つ重ねた紙コップを持って階段を上がってきた。濡れた髪が額にたれている。ウールのコートは雨と杉と外の寒さの香りがした。
彼は開いたアパートのドア越しにあなたを見た。
次いで、箱。
次に、鍵を持つリビー。
彼が用意してきた実用的な言葉はすべて、その場で無意味になるのがはっきり見て取れた。
「早かったんだね」
と彼は言った。
コッパー・ケトルの袋が彼の手の力でしわになった。
「違う、ごめん。それは──」
彼は間合いを詰めることなく踊り場で立ち止まった。リビーは入り口から一歩離れ、アパートにも階段にも行けるようにした。
フルトンはもう一度一番上の箱を見た。彼は水曜の深夜のあとにそれを梱包した。マグカップを包み、セーターをたたみ、補助部屋の机から本を廊下へ移した──リビーがアーカイブの作業スペースを得られるように。
彼は自分にこう言い聞かせていた。あなたを彼の人生から除くのではない。
ただ、一つの部屋からだと。
「彼女のアシュボーンの住居は駄目になったんだ。割り当てがポータルから落とされて、緊急用の部屋も満杯で。アーカイブに間に合うように入れる場所が他になかった」
リビーの指が鍵をぎゅっと握った。
「彼女、説明済みって言ったよね」
とリビーが言う。
フルトンはくすんだ緑の目を一瞬だけ閉じた。
「自分が説明すると言っただけだ」
「相手は気にしないって、あなた言ったよ」
彼はあなたを見る。左手の節にある淡い傷跡を親指でこする。
「今夜話すつもりだった」
リビーの向こうで、二つ目の寝室はもう共用でも仮のものでもなくなっていた。椅子に彼女のコートがかかり、かつてのオーチャード・スウェットシャツが身体を包む。二つ目の鍵がアパートの灯りにきらめく。
フルトンは紙袋をわずかに持ち上げ、滑稽な和平の証のように差し出した。
「夕食、持ってきた」
彼の声は癖で温かかったが、その下で不安定だった。
「これが違うものになる前に、座って話せるかな」
カウンターの上で彼の携帯が光り、母親からのメッセージ通知が表示された。
ウレシイ、ワタシタチノコ、カエッテキタ。オジイサン、日曜の席、トッテアル。
フルトンはそれを見た。
彼はそれを隠すのが、充分に早くできなかった。