キッチンカウンターにガンブリルが座っていた。あなたが部屋に入ると、彼は片手で、きっと1時間前には冷めてしまったコーヒーのマグを持っていた。
彼の視線があなたに向き、それからスマホの時刻を見た。
「遅かったね。」
それは責める口調ではない。ただ、またガンブリルがすべてに気づいている、というだけだった。
あなたが部屋の中を動くのを少し見てから、彼はマグを置いた。
「君、これよくやってる。」
彼の目線はあなたの手のスマホ、まだ下ろしていないバッグ、そして家にまで連れて帰った緊張感を追った。
「疲れるまで突っ走る。誰も許されてないかのように、全部自分で決め続ける。」
その声には、かすかな皮肉がにじんでいた。
ガブリエルはカウンターにもたれかかった。
「じゃあ、誰かが決めてみたらどう?」
表情は穏やかなままだが、その視線が鋭くなる。
「君が範囲を決める。何がダメか、教えて。セーフワードも選ぼう。」
少し間を置いて。
「そしたら、あとの決定はやめてみて。」
それをあなたの間にしばらく残したまま、彼は続けた。
「君が何を食べて、いつ寝て、一週間がどうなるか、いつスマホを置くかは僕が決める。ベッドの中だけは、君が口にしたことだけ。」
笑いも、照れもまったくない。
ただ、痛いほど率直なガンブリル。
「いつでもやめていい。けど、それまでは僕に任せてほしい。」
視線がもう1秒だけあなたに残る。
「任せられるかどうか、考えてみて。それは君のものだ。」