セルミアは数日前、彼女たちの背後に消えていた。
王冠山脈、優美な街道、石造りの橋、耕された畑──すべてがなくなり、ここにはマイアフェンだけが広がっている:黒い水、巨大な樹木、葦の壁、霧、高床式の木造の館、煙、湿った土、革、動物、そして沼地。
最後の行程は、幅広の屋根付き川舟で運ばれた。
七人の女性が中に乗せられていた。七つの名はくじで選ばれ、それぞれがセルミアが結んだ条約の条件だった。
船内では、マレンザは冷静さを保ち、タムジンはセナに寄り添い、ケストレルは顎を固くしていた。ペロネルの緊張した冗談も消えていた。ベダは周囲を用心深い目で見守っていた。
その時、舟が木材にぶつかった。
ドンッ。
外から叫び声が響く。
スカーンホロウの男:
「係留用のロープ持って来い!」
別のスカーンホロウの男:
「今やってる!」
スカーンホロウの男:
「ならそのまま竿握って突っ立ってねぇで、ロープ結べや!」
別のスカーンホロウの男:
「うるせぇ!」
男たちが笑った。だが船内の女性たちは誰一人として笑わなかった。
やがて覆いが引き払われ、光がなだれ込む。
その向こうに待っていたのはスカーンホロウだった。
どうやらスカーンホロウ中のろくでなしどもが女子たちの到着を聞きつけ、桟橋、作業場、手すり、歩道に男たちが溢れかえっている。仕事も放り出し、ただ見つめるためだけに集まっていた。女性の姿はほとんどなかった。
最前には族長ゴルムンドが立っていた。その息子はかなり苛立っていた。
ケロー:
「たった一艘縛るのにどれだけかかってやがるんだ?」
ゴルムンド:
「せっかちな馬鹿が作業の邪魔してりゃ余計時間がかかるもんだ。」
カドックが吠えるように笑った。
カドック:
「野郎呼ばわりされてやんの。」
ケロー:
「聞こえてんぞ、このクソ野郎。」
カドック:
「念押しだよ。」
ヴァーン:
「日の出からずっと文句言ってるぜ。」
ケロー:
「クソ喰らえ。」
背後でマドックが七フィート五インチの巨体のまま、ケロー越しに横から覗き込んだ。
マドック:
「もう来たのか?」
ヴァーン:
「違ぇよ、マドック。俺たちは舟を眺めに集まっただけさ。」
マドックは舟を見つめた。
マドック:
「おう。」
ヴァーン:
「皮肉だよ。」
マドック:
「なんでそう言うんだ?」
カドックがまた笑い出す。
ケロー:
「やられたな、このクソ野郎。」
スレンが静かに立っていた。ロスガルは小さく微笑んでいる。
ケロー:
「なんだその笑みは?」
ゴルムンド:
「もういい。」
舟の扉が完全に開いた。男たちの視線が一斉に向く。
マレンザが最初に連れ出された。顎を上げ、気品を崩さずに。
歩道の上から口笛が鳴った。
スカーンホロウの男:
「くそっ、見ろよ、あの胸。」
別の男:
「頭どかせ、このたわけ。」
カドック:
「尻も負けとらんな。」
ヴァーン:
「六秒で両端チェックとはさすがだな。」
カドック:
「粗相するのも嫌だからな、半分見逃すのは失礼だろ。」
ケロー:
「なんて紳士だ、このクズ。」
ゴルムンド:
「見るために沼に落ちたやつは好きに溺れてろ。」
笑い声が沸く。見つめる男たちに羞恥はなかった。
続いてタムジンが現れ、急いでマレンザへ向かう。
マドック:
「あいつ怯えてるな。」
ケロー:
「当たり前だろ。」
マドック:
「なんで?」
ケロー:
「周り見てみろ、マヌケ。」
マドックは従順に見回し、何百人もの男、武器、泥、煙、血にまみれた狩猟道具、そして恥じらいのない目が胸、腰、脚、顔、尻に注がれている。
マドック:
「……ああ。なるほどな。」
三番目にはケストレルが、固い顎と冷たい目で続いた。
カドック:
「やべぇな、見てみろ。」
ケロー:
「どの部分だ?」
カドック:
「全部だよバカ。とくに尻もたまらん。」
男の一人が上から長い口笛を鳴らし、また別の男が「やっと待ってた甲斐があった」と叫ぶ。
カドック:
「あれは噛み付く女の顔だ。」
ケロー:
「たぶん最初にお前のそいつをな。」
カドック:
「それでも構わん。」
ヴァーン:
「お前は壊れてる。」
カドック:
「でも母ちゃんは見捨てなかったぜ。」
ヴァーン:
「選択肢がなかったんだ。」
その後セナ、ペロネル、ベダが続く。現れるごとに口笛や汚い冗談、ウィンク、告白や男同士の肘鉄が飛び交った。
別の男:
「そいつはいい、こっちに来て膝の上に乗れ!」
三人目の男:
「その口で?どのみち顔の上に座られて黙らされるぞ。」
桟橋が沸き返る。
ケロー:
「ほんとによく下半身で考える野郎どもだな。」
カドック:
「言いながら胸見てんじゃねぇか。」
ケロー:
「俺は二つ同時にできる。」
ヴァーン:
「歴史的快挙だ。」
六人の女性が桟橋に並ぶ。
ケロー:
「六人だな。」
カドック:
「ああ。」
ケロー:
「七人のはずだろ。」
カドック:
「最後の一人、逃げたかもな。」
マドックは桟橋に目をやる。
マドック:
「扉、まだ閉まってる。」
ヴァーン:
「扉だぞ。開くさ。」
マドックは考える。
マドック:
「詰まってるのかも。」
ヴァーン:
「そうだな、詰まってるのかもな。」
マドック:
「なんで閉めてんだ?」
ゴルムンド:
「こっちが全員でじろじろ見る前に、せめて一息つかせてやるんだよ。」
マドック:
「見られたいのか?」
ケロー:
「お前なら見てもらいたいか?」
マドックはスカーンホロウを見て、桟橋を埋める男、六人の女性を眺める。
マドック:
「……ああ、俺ならな。」
カドックがまた笑い出す。
カドック:
「マジ最高だなこの野郎。」
マドックが彼を見やる。
マドック:
「お前とはやらんぞ。」
沈黙。
ケローが喉を詰まらせた声を発した。
ヴァーンは顔をそむける。
カドック:
「そんな意味じゃねぇ!」
マドック:
「何でそう言った?」
ケローは笑い転げる。
ケロー:
「勘弁してくれよカドック。」
カドック:
「黙れ!」
マドック:
「言ったのはお前だぞ。」
スレン:
「一本取られたな。」
カドック:
「今喋るのかよ!」
その時、舟の中で動きがあり、笑いがぴたりとやむ。
まだ一人、女性が残っている。
セルミアのくじで引かれた七つ目の名。
──あなた。*
あなたは最後に現れる。手を横に置きながら。外見はあなた自身が決め、表情も、考えも、感じ方も、次に何を選ぶかも、あなただけのもの。
しかし一つだけ明白な事実があった。
七人のくじの女の中でも、あなたが最も美しかった。
──そしてスカーンホロウはそれに気づいた。
桟橋が水を打ったように静まり返る。
礼儀でも畏怖でもなく、ただただ圧倒されて何も言えなくなる沈黙。
やがて誰かが口笛を吹いた。
スカーンホロウの男:
「こりゃたまげた。」
別の男:
「見ろよ、あれ。」
三人目の男:
「見てるさ、邪魔すんなバカ。」
三秒の静寂の後、再び桟橋が沸き返る。男たちは手すりに身を乗り出し、友人を押しのけ、歩道の両側から野次が飛ぶ。
スカーンホロウの男:
「セルミアは一番を隠してたのか!」
別の男:
「お嬢ちゃん、婿が必要なら俺がいるぞ!」
三人目の男:
「あいつはちゃんと男がいるのがいいって言ってるんだ、お前には無理だな!」
大爆笑。
カドック:
「……参ったぜ。」
ヴァーン:
「やっぱりな。」
カドック:
「言おうとした言葉も吹っ飛んだわ。」
ケローは何も言わなかった。
カドック:
「ケロー。」
返答はない。
カドック:
「ケロー。」
ケロー:
「聞こえてる。」
カドック:
「ならなんで黙ってる?」
ケロー:
「考え中だ。」
ヴァーン:
「珍しいな。」
ケロー:
「ケツ舐めてろ。」
カドック:
「いや、今はお前、彼女の尻見てるだろうが。」
ケローがそちらを睨む。
ケロー:
「黙れ。」
カドック:
「恋患いか。」
ケロー:
「バカ言ってんな。」
ヴァーン:
「事実を否定してる。」
ケロー:
「お前も消えろ。」
その視線はふたたびあなたに注がれる。
ケロー:
「セルミアはどこに隠してたんだ、こいつを?」
スレン:
「お前からだろ。」
カドックが息を詰まらせる。
ケロー:
「ほとんど喋らんくせに、えらい選択するな。」
スレン:
「ああ。」
ケロー:
「クソったれ。」
また上から口笛が聞こえる。
スカーンホロウの男:
「回って見せてくれよ、美人ちゃん!」
ケロー:
「叫んでろクソ野郎。そしたら彼女が柵乗り越えて張り倒しに行くかもな!」
カドック:
「人より先に頼まれたのが羨ましいか?」
ケロー:
「あんなバカが羨ましいかよ。俺ならむしろスズメバチの巣に突っ込む方がマシだ。」
ヴァーン:
「それは珍しくまともだな。」
マドックはあなたを見つめ続ける。
マドック:
「きれいだな。」
ケロー:
「お前まで言うなよ。」
マドック:
「何が?」
ケロー:
「……もういい、やめろ。」
マドック:
「何もしてないぞ。」
再びあなたに目を向ける。
マドック:
「やっぱりきれい。」
カドック:
「あーあ、今度はマドックに嫉妬してるぜ。」
ケロー:
「マドックに嫉妬なんかしてねぇぞ!」
ヴァーン:
「大声だ。」
ケロー:
「お前の腸で首絞めてやろうか。」
ロスガル:
「彼女には惹かれてるようだがな。」
ケローがピンと背筋を伸ばす。
ケロー:
「消えろ、ロスガル。」
ロスガル:
「まただな。」
ケロー:
「何がだ?」
ロスガル:
「緊張してるときの反応だ。」
ケロー:
「緊張なんかしてねぇ。」
ロスガル:
「なるほど。」
ロスガルの視線があなたへと移る。落ち着いてゆっくりとした瞳。
ロスガル:
「セルミアは本当に分かって送り込んできたんだな。」
ケロー:
「いやらしい目で言うなよ、この変態。」
ロスガル:
「どこがいやらしい?」
ケロー:
「値踏みしてるみたいだからだ。」
ロスガル:
「よく気づいたな。」
ケロー:
「もういい、地獄に落ちろ。」
しばし桟橋の奥がざわつく。あなたの結婚や子作りについての下劣な野次が飛び交い、スカーンホロウならさっそくくじの意味を活用できるなどと叫ばれる。
ゴルムンドが鋭い視線で一喝。
ゴルムンド:
「来てまだ数分だ。繁殖の賭け事は自分たちだけでやってろ。」
カドック:
「数分もっただけマシだな。」
ヴァーン:
「お前だけだろうな。」
カドック:
「てめぇ。」
口笛、ウィンク、淫らな目線、身体のコメントはやまず。男たちは聞こえよがしに七人について語り、女性たちに届くのが余計に面白いようだ。
ゴルムンドがようやく前に出る。
ゴルムンド:
「お前ら全員、黙れ。」
近くの男は静まり、遠くの者も声をひそめた。
七人のくじの女たちは共に立ち、手を横に。背後には舟、前方には黒い水、長屋、煙、武器、泥、そして多すぎるほどの男たち。
視線は止まらず。
ニヤリとする笑みも消えぬまま。
ケローはなおもあなたを見ている。カドックはこの混乱を楽しみきっている。ヴァーンはもう彼に飽きている風だ。マドックは舟を難しい顔で見つめ、スレンは沈黙し続け、ロスガルは柔らかくほほえんでいた。
そして、ゴルムンドが全ての先頭に立っていた。
ゴルムンド:
「ようこそ、スカーンホロウへ。」
その言葉は桟橋全体に重く降りかかった。
背後から最後に低い口笛が響く。
ケロー:
「今の誰だこのムラムラ野郎!」
これがスカーンホロウだ。
ここで旅は終わる──
そして、すべてが始まる。