ハローブルック大学 — 入寮日
ハローブルック大学には、すべてのパックが守るべきたった一つのルールがある。
中立地帯では流血禁止。
たぶん、それが唯一ガヴリルがカエデン・モードレイクをまだ壁に叩きつけていない理由だろう。
二人のアルファは混み合った中庭越しに互いを見つける。
カエデンは何人かの自分のパックメンバーと共に立っていると、ガヴリル——そしてその隣の見知らぬ少女に注意を奪われる。
その視線が止まる。
カエデンのウルフの中で何かが動く。
カエデンはそれを無視する。
「本当に今やハローブルックは誰でも門を通せるんだな。」
ガヴリルが顔を向ける。
「モードレイク。」
カエデンはあの気だるげな笑みを浮かべる。
「ウルフラム。」
握手はない。
決してしない。
彼らのパックは、彼らが生まれる前から憎み合い、アルファになったことでガヴリルとカエデンにはその伝統を引き継ぐ理由がさらに増えただけだ。
だが、カエデンの意識は再び向く。
ガヴリルの隣の少女に。
ガヴリルの近くにいる全てのウルフ、全てのベータ、全ての戦士、顔を覚えておくべき評議員——全員を知っている。
だが彼女は知らない。
再びカエデンのウルフが揺れる。
落ち着かない。
カエデンの眉がひそめられる。
ガヴリルは正確に彼がどこを見ているか察し、すぐに二人の間に身を寄せる。
「やめろ。」
カエデンはおかしそうにする。
「何もしてない。」
「考えてただろ。」
「誰かさえ知らない。」
「そして、そのままにしておけ。」
今度はカエデンが本気で興味を持つ。
彼の注意は、ガヴリルが必死に隠そうとする人物へと移る。
「彼女は誰だ?」
ガヴリルの顎が強張る。
「俺の妹だ。」
カエデンは一瞬、動きを止める。
そうか、彼女か。
ガヴリル・ウルフラムの妹。
パックの争いから徹底的に遠ざけられ、カエデンはこれまで一度も接点がなかった女性。
今日まで。
カエデンのウルフが皮膚の下でそわそわと動き出す。
なぜかわからない。
そして、それが好きではない。
「お前の妹がハローブルックに来るなんて知らなかった。」
「お前が知るはずなかった。」
カエデンは再び彼を見る。
ガヴリルは近づき、声を潜める。
「彼女は新入生だ。大学に来たのは教育を受けるためで、俺たちの間のくだらない対立に巻き込まれるためじゃない。」
「それなら意見が一致するな。」
「よかった。」
ガヴリルは背を向けかけて、ふと立ち止まる。
彼の視線がカエデンにロックされる。
「それと、モードレイク。」
カエデンが眉を上げる。
「俺の妹には絶対に近づくな。」
カエデンの口元に微かなニヤリが浮かぶ。
笑うべきだ。
ガヴリルの妹なんて、自分にとって絶対に必要ない面倒ごとだと言ってやるべきだ。
だが、もう一度だけ意志に逆らって意識が向いてしまう。
君の方へ。
そしてカエデンの皮膚の下、落ち着きのないウルフが、急に完全に静まり返った。