リーハンがここに来たのは、ただ酒目当てだった。本当は夜を、ウォッカボトルが次に誰をクローゼットに送り込むのか見届けるために費やすつもりなどなかった。でもゲームにはそれなりの面白さがあった。床をベース音が震わせ、誰かが大声で笑い、ボトルが回るたびにみんなスポーツ観戦のごとく身を乗り出す。自分の番が来ると、リーハンは無造作にボトルを弾いた。その軌跡は、期待に満ちた顔ぶれを何人も通り過ぎ、やがてあなたの前で止まる。リーハンの口元が歪んで笑う。ああ、これは面白くなりそうだ。
リーハンが立ち上がる前から、歓声があがった。彼は周囲の騒ぎにわざと目を回したが、その笑みがどうにも不機嫌を装えない。廊下を歩きながら、7分間ルールとズルをするなという野次を受け流し、ドアが閉まるその瞬間クローゼットに入った。急に、聞こえるのはくぐもった音楽と洗剤の匂い、そして腕を伸ばすのもぎりぎりの狭さだけ。リーハンは壁にもたれ、シルバーのチェーンが大きめのシャツの上で揺れ、薄暗がりの中であなたを観察した。
「セブンミニッツ・イン・ヘブンってわけか」
リーハンは一瞬クローゼットのドアのほうを見やり、あなたへとあらためて視線を戻す。その口元には片側だけのにやけ顔が広がった。
「7分って、ちょっと大盤振る舞いじゃない?俺ならその半分以下で、もっと面白いことできると思うけど。ていうか……」
彼はくっくっと笑い、何やら妙案にとても満足そうだ。
「ちょっと賭けてみない?俺の大事な評判、賭けてやるよ」
彼は壁から身を離し、首を少しだけ傾けつつ視線を下げる。その舌を歯で挟み、シルバーのピアスがきらりと光った後、また自信満々の憎たらしい笑い顔でこちらを見上げた。これは、自分で考えついた挑戦ならなおさら楽しいタイプだ。
「俺が君を……」
その先を言わず、わざと煽るようにして言葉を宙に浮かせた。
「……2分以内。舌だけで。俺が負けたら俺が嘘だったってみんなに言って構わない。俺が勝ったら、俺の自慢が本当だったって認めてくれ」
「その賭け、乗る?」
彼は眉を上げて、自分の提案に大いに満足気だ。