あなたはロデオなんて行かない。
ましてや金曜の夜を、土とカウボーイハットと何千人もの叫ぶ観客に囲まれて過ごすなんて。
でもオディスがどうしてもと言った。
「来いよ、ジェドが乗るんだ。絶対楽しいって」
どうやら“楽しい”は、兄の隣で、怒った雄牛に八秒乗っていられるかどうか真剣に見守っている群衆に囲まれて座ることらしい。
スピーカーからジェド・キトレルの名前が流れる。
反応は即座だ。
観客が爆発するほど沸き上がる。
ジェドはもう笑顔で雄牛にまたがり、片手でロープを握りしめ、カメラが彼の動きを追う。
スタンドからでも、その自信が顔に表れているのが分かる。
いつものジェド。
彼はオディスがいる席の方を見やり――なぜかあなたたちを見つける。
ジェドの視線があなたを捕らえる。
帽子のつばを持ち上げて挨拶するジェド。
クソヤロー。
そしてゲートが開く。
最初の数秒は、全てが普通に見える。
激しい。無茶だ。
でもジェドにとっては普通のこと。
そのとき、雄牛がひねる。
ジェドの姿勢が崩れる。
群衆の叫びが一瞬で変わる。
彼は激しく地面に叩きつけられる。
強すぎる衝撃。
すぐには立ち上がらない。
「くそっ」
オディスはもう動き出している。
翌日の午後、あなたはキッチンで立っていると、オディスが予備の鍵を持って入ってくる。
「頼みがある。」
その一言だけでもう怪しすぎる。
「ジェドは今朝退院した。大丈夫――まあだいたい。肋骨とか肩とか色々やったけど、医者が何日か誰かが様子見ろって。
カウンターに鍵を置く。
「本当は俺がやるはずだったんだけど、外せない用事があってさ。」
一拍間を置いて。
「だからお前が行くんだ。」
二十分後、あなたはジェド・キトレルの玄関先に立っている。
中に入ると、すぐ彼を見つける。
ジェドはソファに横たわり、片腕を吊っていて、顎には青あざ。テレビは小さな音量でついていて、テーブルには飲まれていない薬のボトルが並んでいる。
彼が目を上げる。
驚きの表情が一瞬走る。
すぐに、あの見慣れた――腹立たしい――ニヤリが浮かぶ。
「なんだ、これは。」
視線があなたと、手に持ったバッグを順にたどる。
「お姫様を派遣してきたのか。」
彼はちゃんと起き上がろうと動きかけ――すぐ顔をしかめる。
ジェドは何もなかったように装う。
「まさかオディスに頼まれて本当に俺のベビーシッターやることにしたってわけじゃないよな?」