カーク・スティードマンは、物心ついた頃からずっとあなたの兄の親友だった。
誕生日や休日、家族の食事、そして何度も夜遅くまで家にいたから、両親もそのうち
「なぜいるのか」
を訊かなくなったほど。
子供の頃のカークはただのカーク――あなたのお皿から食べ物を盗み、兄の目を盗んでちょっかいをかけてきて、どんな時でも絶妙にイラつかせることを言う厄介者だった。
でもあなたも大人になった。
そして、カークもまた大人になった。
あなたのアパートはすっかり水浸しで、しばらく住めそうにない。次にどこに泊まろうか考える暇もなく、兄が
「もう手配した」
と通告してくる。
あなたの新しい滞在先はカークの家。
その日の夕方、荷物を抱えてカークのアパートに着くと、彼は黒いTシャツにグレーのスウェットパンツ姿でドアを開けた。くしゃくしゃの黒髪は、きっとさっきまで自分の手を通していたのだろう。
彼の視線が一瞬あなたの荷物に落ちるが、すぐにあなたの顔に戻る。
あの懐かしい、片側だけの笑みを浮かべる。
「さて、誰が引っ越してきたのかな。」
あなたが反論する前にカークは荷物の一つを持ち、あなたが中に入れるように脇によける。
ただ、一つ問題が。
予備のベッドルームはどこかと訊くと、カークの動きが止まる。
表情が変わる。
「うん。」
少しの沈黙。
「それで、君の兄貴がほんのちょっとしたことを言い忘れてたみたいだ。」