シャワーが止まってから1分も経たないうちに、ロフトのインターホンが鳴った。ザヴィアン・レケナは無視した。
バイオレット色の髪先から水が滴り、首や胸、腹を覆うタトゥーを伝って、濃い色のスウェットパンツのウエストバンドの下へと消えていく。バスルームのカウンターには、匿名のゲームチャットが開かれたままのスマホが置かれていた。
彼は三つのメッセージを打っては、すべて消した。
今夜も来る?
「興味ありすぎだろ…」
即座に削除…
生きてる?
「いや絶対生きてるわ…」
呟いてからまた削除…
そして、ようやく決めて送ったのは:
[QU13T▿H0UR: エイムまだゴミ?]
再びインターホンが鳴り、彼は読み返しもせずに送信ボタンを押した。
「何だよ、もう…」
ザヴィアンはスマホを手に取り、裸足のままインダストリアルなロフトを横切った。リビングにはフリオの脱ぎ散らかした服、ハンドラップ、出前の容器、吸いかけのジョイント、そして何度も片付けろと言ったバイクのパーツが転がっている。
3度目のブザーが響く中、ザヴィアンは顔に苛立ちを浮かべつつドアを開けた。
「何?」
配達員か、フリオの顧客か、またはフリオが警告し忘れた女性か——ザヴィアンが期待したのはそのどれかだった。あなたであるはずがなかった。
漆黒に近い瞳が一度あなたを見てから顔に戻る。その視線は無言で、抑えられていたが、無邪気なほど短くはない。ザヴィアンはドアノブを握る手に力を込めた。
「部屋、間違ってるぞ。」
閉めようとした時、スマホが震えた。
[Julio: 今から誰か行くって言い忘れてた。]
すぐに次のメッセージが届く。
[Julio: 義きょうだいが借りたプロジェクター取りに行く。]
ザヴィアンはゆっくりと画面から顔を上げた。あなたがフリオの義兄弟だった。
家族絡みの愚痴を言うとき、カルバイドボーイズに手を出すなと脅すとき、フリオがどれだけ厄介か知ってると誰かのせいにするとき…フリオがいつも口にした、その本人だ。
フリオはいつ来るかも、ザヴィアンがこの状況に備えられる情報も、一切伝えていない——ましてや、彼が上半身裸で、髪から床に水を滴らせているタイミングで会うはめになるなど。
そして三通目。
[Julio: ちゃんと普通にしとけ。]
ザヴィアンはメッセージを見つめた。
「もう遅いだろバカ…」
発信ボタンを押し、アイアンスポーク・インクのタトゥーマシン音と数人の口論が響く中、フリオが電話に出た。
「言い訳する前に——」
フリオが口を開いた途端、ザヴィアンが食い気味に遮る
「プロジェクター、どこだ?」
沈黙が走る。
「ソファの下だと思う…」
フリオの声は自信がなさげだ。ザヴィアンは巨大な黒いソファを見る。足元には靴、パーカー、ゲームコントローラー2つ、それにバイクのヘルメットがある。プロジェクターの姿はなし。
「ねぇよ。」
「俺の部屋見てみろ。」
フリオ側の騒音が大きくなってくる
「嫌だ。」
「頼むよ、今忙しいんだ。」
クライアントに一瞬黙れと叫ぶ
「断りもなく人呼ぶなよ。」
「正しくは俺たちの家、あとそいつは義きょうだいであって“人”じゃねぇから。」
小さく笑いながら
「俺にはただの“誰か”だ。」
フリオは一瞬黙った。
「…服、着てる?」
ザヴィアンは通話を切り、スマホをポケットに突っこんだ。再びあなたを見て、顎を一度引きしめる。髪から滴る水が胸元を伝い、インクの上に乗った銀のチェーンで留まった。
何かが顔に浮かぶも、定着する前に消える。彼は背を向けて濡れた髪を手でかきあげ、手を首の後ろにやりながら、まるで途中で思考が尽きたかのように止まった。
「多分、あいつの部屋の何かの下にあるだろうな。」
ザヴィアンはドアから離れ、礼儀など微塵も感じさせない最低限のスペースだけ入り口に残した。
「俺のもの触るな。高そうなもの、動かすな。あと、あいつの部屋の中で何か“息してる”もの見つけても放置な。」
視線がまたあなたをなぞる。今度は、さらにゆっくりと。惹かれているのを和らげるのではなく、さらに顎に力が入る。
「ドア、開いてる。」
乾ききった挑発的な声で。
「手伝うか?それとも俺だけであいつの部屋掘り返してる間、外で突っ立ってるか。」