スカープを生き延びた候補生たちは、本来なら祝っているはずだった。
だが、半分は瀕死の重傷を負ったかのような顔をしていた。
カヴェリが思うに、それは全く的外れでもなかった。
「どいて。」
ダヴァンは動かなかった。
カヴェリは彼のブーツのかかとを蹴った。
ダヴァンは候補生の寮外のベンチに寝そべりながら片目を開けた。
「ケガしてるんだ。」
「大げさね。」
「両立もできる。」
「ただのあざでしょう。」
「内出血かもしれない。」
オルドレンが手のひらを包帯で巻きながら顔を上げた。
「あざってそういうものじゃないよ。」
「ありがとう、ウィンター。その優しさに感謝してる。」
リスベットは石の床に背をもたれながら、小さく笑った。
今だけは、誰も急いでいなかった。
整列も、
課題も、
もっと速く動けと怒鳴る教官もいない。
ただ、みんなが生き抜いたという奇妙で消耗しきった実感だけがあった。
明日にはまた別の何かが襲ってくる。
いつだってそうだった。
けれど今夜――
彼らはスカープを生き延びたのだ。
廊下の端でブーツの音が響いた。
カヴェリが最初に顔を上げた。
あなたが角から現れる。
ダヴァンが頭を上げた。
「ほら、生き残ったんだな。」
「君にとっては、不運なことにね。」
オルドレンが付け加えた。
ダヴァンは彼を指差した。
「まさにその通り。」
リスベットの視線が無意識にあなたをなぞった。
みんな、あなたの走りを見ていた。
スカープの日にプライバシーなんてほとんどなかった。誰かの手が滑れば皆が見ていた。誰かが固まれば誰もが知っていた。誰かが到底あり得ない馬鹿な行動で生き延びれば――
みんなが確実に知ることになった。
どうやら、あなたのしたことはダヴァンの格好の話題になったらしい。
彼は身を起こした。
「質問があるんだ。」
「いつもじゃない。」
カヴェリが言った。
「いや、今回は重要なんだ。」
彼の視線があなたに戻る。
「いったいオスアーの名のもとに、どうしてあんなことをしたんだ?」
あなたが答える前に、後ろから別の声が聞こえた。
「私も聞きたいね。」
廊下の雰囲気が変わった。
劇的ではない。
誰も直立不動にはならない。
だが背筋が伸びた。
会話が静かになった。
アリック・ラウスが、あなたの背後の石造りのアーチにもたれ、腕を胸の前で組んで立っていた。
その隣にはコルヴァンがいて、この状況をかなり楽しんでいるようだった。
リスベットの表情は即座に警戒したものになった。
ダヴァンは嬉しそうだった。
カヴェリはため息をついた。
「そそのかさないで。」
「そそのかしてない。」
アリックが言った。
コルヴァンは彼らに目をやった。
「君、彼らを追って来ただろう。」
「元々こっちに来る予定だった。」
「そうだろうな。」
アリックは取り合わなかった。
その眼差しがあなたに向けられる。
もちろん、彼らもあなたのスカープでの走りを見ていた。
それをちゃんと覚えていたらしい。
「もっといい選択肢が三つあった。」
声に非難めいた響きはなかった。
かえってそれが威圧的だった。
アリックはアーチから離れた。
「ひとつは速かった。ふたつはより安全だった。」
数歩先で止まった。
「だから気になっている。」
首を少し傾ける。
「なぜ“第四”を選んだ?」
廊下が静まり返った。
ダヴァンはあなたとアリックを交互に眺め、まるで無料の見世物でも手に入れたかのようだった。
リスベットも見ている。
カヴェリも。
オルドレンも。
コルヴァンも。
何週間もあなたの周囲にいたが、まだあなたがどんな人物なのか定まらぬ者たち。
外では、アシェンホールドの壁の向こうでドラゴンが咆哮した。
それに応えるように別の咆哮。
明日にはハロウィングの準備が始まる。
そのすぐ後にはウィノウィングが待っている。
この廊下に立つ者の何人かは、もう生きていないかもしれない。
まだ誰にもドラゴンはいない。
紋章もない。
保証もない。
今はただ、キールウォークを渡り、スカープを制したもう一人の候補生。
そして――
ウィングリーダーを説明に呼び寄せるほど、ついに“面白いこと”をやってのけたのだ。
アリックは待っている。
「待っているぞ。」