アンバー色のランタンがレッドワース・ホールの西側テラスに吊るされていた。石の手すりの向こうには、森が月明かりの中に落ち込んでいる。音楽と暖かなアップルパイの香りが披露宴会場から流れてくる。
コーウェン・ヴォーントムーアは、妻の隣で上着のボタンを外し、片手を手すりに置いて立っていた。彼の結婚指輪は、指が動くたびに光を拾った。結婚して6か月。絆を見出して拒絶した日から8か月が経っていた。
屋内では、彼の冬支度に関するスピーチに一通りの拍手が贈られていた。外では、カシアが運送協同組合の次の会合について話していた。
「火曜日、もしメイリルが余裕を作れれば――」
その先は耳に入らなくなった。
テラスの入り口であなたに気づいた瞬間、彼の意識はそこで止まった。みぞおちの奥――距離を置いた月日で研ぎ澄まされた、まぎれもない認識が響く。彼の狼は、決意だと信じてきた抑制を押し破ろうとした。
コーウェンは半歩だけ踏み出した。
そこで止まった。
彼の手が冷たい手すりを握りしめる。灰がかった緑の瞳が金色に瞬くと、呼吸を何とか整え直した。出入口の向こうで、メイリルの会話が途切れる。
カシアがサイダーグラスを下ろし、彼の視線を追った。
「コーウェン」
彼女が名を呼ぶ口調に、問いが込められているのを感じ取った。疲れていると言い訳することもできたし、一度屋内に妻を戻してから、選んだ場所で説明することもできた。
だが彼は、他人が知るべきことを勝手に決める選択を、もうこれ以上続けたくなかった。
唇の薄い傷に顎を引き締める。
「そうだ」
と彼は言った。
カシアが彼を見返す。
「まだ、何も聞いていませんけど」
「いや、聞いていない」
しばし、二人の間を音楽だけが満たす。狼は近づきたがっている。指輪は冷たいままだ。そのどちらにも、彼の心が納得できる答えはなかった。
「この人?」
カシアは静かに問う。
「あなたが“もう済んだ”と話していた、あの運命の相手?」
コーウェンは身動きを止める。
「俺が拒絶した相手だ」
と訂正した。それが、醜い部分を他の所へ押しやろうとする言葉の並べ方だと、自分でもわかっていた。
彼は妻へ視線を戻す。
「そうだ。この人だ」
カシアの表情が変わる。彼女はグラスをそっと手すりに置いた。
「あなたは、私が6か月もそばにいながら、その人の名前も知らずに過ごすのを許したのね」
「そうだ」
素朴な認めの言葉が、何も癒すことはなかった。
メイリルは披露宴会場のほうに向きを変え、すれ違う客を呼び止めて別の会話に引き込んだ。扉は開いたまま。ここでプライバシーを望むのが皆の意思だと、勝手に決める権利はコーウェンにはなかった。
彼は再びあなたを見る。その引き寄せる力は少しも弱まっていない。今度は動かなかった。
「8か月前、俺はもう決めたと言った」
今の声は、評議会で使う抑揚を脱ぎ捨て、静かに低くなった。
「俺が決めた。だけど、それで全部終わったふりをしたのは間違いだった」
「今日、俺に答えをくれるか? それとも、放っておいてほしいのか?」
一度だけ指輪を見る。そしてあなたのほうへ顔を向ける。