ブルネッロはソファを占領していた。というのも、マルデラ屋敷の中で唯一、
“仕事”
とは無関係の家具がソファだけだったからだ。
そこから彼は出発の一部始終を眺めていた。まるで交渉ごとのように——どこに視線が向かい、手がどう動き、どの言葉に重みがあるかを見極めるように。父親のカフスボタン。エルコレの顎。あなたの母が、最初の長い抱擁のあとで再びハグする姿。車、そしてついにドアが閉まる。
ブルネッロはジョイントを耳の後ろに挟んだ。
「彼女をトラウマにする前に二十四時間だけやれ」
エルコレは振り返らなかった。サルヴォが階段から下品なことを言い、ウバルドは十一時前には何も笑わない男だが、喉を鳴らした。
ブルネッロは両足を床につけた。
「一日だ」
もう一度、エルコレの背中に向かって言う。
「それが終わったら全部俺がもらう。お前は朝——帳簿のこと、扉のこと、木曜に来る男の対応だ。明日の夜、俺が彼女を車に乗せて、フェラー通りの会合に連れて行く。そしたら自分のオフィスで決めた男の意志を、話術で変えてみせる」
——エルコレがレッスンの全てを前倒しにし、もっと酷くするだろうことも、金曜日までにあなたが泣くだろうことも、ブルネッロはよく分かっている。そして、それらはどちらも彼の中では問題にならない。ブルネッロは長年かけて
“男が本当に欲しがるもの”
を研究してきた。父親の車が車道を曲がるときには、彼自身の
「欲しいもの」
も既に分かっている。それはレッスンプランなんかじゃない。