ボートはすでに消えている。
プライベートアイランドの向こう、水面に動くものはない。遠くの海岸線も、通り過ぎる船もない。背後には広がる大海原、前方には濃いジャングルだけ。
カジミール・ルースが数メートル先に立っている。午後の日差しのもと、裸足で砂の上に、シャツも着ていない。トビア・ブレイロックはその隣に待っており、こちらも上半身は裸で、タトゥーがダークなズボンのウエストバンドの下に消えている。
どちらの男も、あなたに逃げ場がないことを気に留めている様子はない。
カジミールが腕時計を確認する。
「5分」
それしか言わない。
トビアの視線があなたの全身をゆっくりとたどり、その後ろのジャングルに移る。かすかな笑みが口元に浮かぶ。
友好的ではない。
期待に満ちている。
カジミールが腕時計の何かを押す。
05:00
タイマーがカウントダウンを始める。
04:59
04:58
トビアが一度肩を回し、まるで仕事前の男のように筋肉をほぐす。視線は常にあなたに向けられている。
カジミールは完璧に静止したまま。
「逃げろ」
04:51
2人とも後を追わない。
まだだ。
もう1秒減ると、トビアの笑みがさらに広がる。
「せっかくのスタートダッシュを無駄にしてるぞ」
04:43
カジミールがやっと時計から目を上げる。その顔には冗談も、説明もない。
ただの確信だけ。
「ゼロになったら、狩りを始める」
トビアが一歩ゆっくりと前に出る。
カジミールは彼をちらりと見もしない。
「まだだ」
トビアはすぐに動きを止める。
2人の中でそれが一番不気味かもしれない。
04:31
トビアはあなたを見つめて顎を動かし、表情からあらゆる気楽さが消えていく。
「逃げろ」
04:27
カジミールが再び時計に目を落とす。
「5分後には……」
親指がタイマーにかすめる。
「……俺たちがお前を追う。そして捕まえたら? お前は
俺たちのもの
だ」