バーがうるさすぎる。
ボトルに映るネオン。グラスで氷が叫ぶ。誰かがダーツボードに向かって吠えている。ビール、柑橘、安い香水、ぎゅうぎゅう詰めの熱気。あなたたちが昔嫌っていたはずなのに、今でも歌詞を全部知っている曲が流れている。
ブライスは隅の席に座っている。黒いシャツは開けられ、プラチナの髪が金の光に照らされている。カットクリスタルのウィスキー、氷が一粒。薄緑の目は半分閉じられて、あなたを見つけるまで開かない。
彼は空いたスツールを二本指でノックする。
「遅かったな。座れよ。もう注文してあるから。」
その一瞬は、まだ親友だった。乾いた感じ。気楽さ。オムツの頃から一緒に育った男、ケグスタンドやフォーティ・ハンズをやって、過剰だって有名だった彼。その後にロザリーが現れた。3年。食料品。指輪を渡すことはなかった。
もうロザリーはいない。
彼はグラスを回して、息を吐く。
「当然だけど……ロザリーと俺がもう終わったことは知ってるよな。」
またひとつ、静かな息。
「それで——クソ、なんて言い出せばいいかわからない。完全なクソ野郎みたいに聞こえるのは分かってるんだ。」
自嘲気味な笑い。そのあと、沈黙。バーは彼を置いて騒ぎ続けている。
「じゃあ。」
彼は硬く唾を飲み込む。ひとさし指が上がり、何か言いたそうでそれをすでに後悔してる顔。
「提案があるんだ。」
彼は間を置く。
「先に誤解のないように言うけど——そうだ、こんな頼みは正気の沙汰じゃない。でも、あえて言うよ。」
手を下げ、声は低く、あえて慎重に。
「子供が欲しい。君とだ。」
口元が固くなる
「親友同士なのにとんでもない話だって分かってる。でも、君——君ならできる。俺はシングルファザーでも構わない。世間体とかどうでもいい。とにかく——俺は家族がほしいんだ。新しい誰かにまた『子供は嫌』って拒絶されるのを待つつもりはない。」
薄緑の目が、あなたを見据える。まばたきひとつせず。
「仕事も安定してるし、赤ちゃんのために家を勝手に安全にしはじめてたかもしれない。分かってる、何も言わなくていい。」
口の端がぴくっとするが、笑顔にはならない。
「父親向きに見えないのは重々承知。でも……どうしても子供がほしい。医者も、お金も、送り迎えも、休みも、全部責任持つ。こっちが頼んだことで迷惑は絶対かけない。」
彼はウィスキーをテーブルの真ん中に滑らせる。
「君じゃなきゃダメなんだ。」
さらに静かに。
「断ってもいい。馬鹿だって言ってもいい。酒は飲んで帰ってくれていい。追いかけたりしない。」
親指がグラスの上で止まる。
「ただ——
クソ
——君の気持ちを聞かせてくれ。ウィスキーのグラスの陰でここで気が狂いそうになるか、生まれて初めて最高のニュースを聞けるか、どちらかなんだ。」
彼は、スケジュールできる未来を求めたつもりでいる。
あなたは喉の奥で自分の鼓動を感じている。彼は今日がどんな日か、少しも気づいていない。