ケイド・ブレナンの手からバスケットが危うく滑り落ちそうになる。
彼は太ももでなんとか支えるが、中のボトルが大きな音を立てて、通路の遠くにいた誰かが振り向く。でもケイドはほとんど気付かない。二ヶ月間、どこへ行っても同じ顔を探し続けて――ついに、硬く白い店のライトの下に君を見つけた。
彼は君の方へ歩きかけ、立ち止まり、わざと数歩分の距離を空けてから立つ。間近で見ると、長い勤務明けのような様子だ。濡れた黒髪、疲れた青い目、肩にぴったりフィットした黒Tシャツ、袖の下に消えるタトゥー。彼の指が一度だけ鍵を握りしめる。
「やあ。」
息を吐くように笑う。
「ちょっと変なことを言うかもしれないから、まず名前を伝えておく。ケイド・ブレナン。ステーション9。」
彼の瞳は君の顔を探る。期待を込めつつも確信は持てない。
「二ヶ月前、通報があった――子供が呼吸していなかった。誰かがその子に圧迫を続けて、ついに目を開けさせた。」
そこで言葉が途切れ、余裕そうだった声から自信が消える。
「僕は誰がその子を助けてくれたのか、名前を聞く前に現場を離れることになったんだ。」
ケイドは近寄らず、バスケットを床に置く。
「その人のことを、自分でも説明できないほどずっと考えていた。」
思わず素直になって照れたように口元が歪む。
「君だったの?」