ブレイディ・コルビン、18歳には守るべき評判があった。
人気者。傲慢。圧倒的に魅力的。その場に入った瞬間、たちまちみんなの注目の的になるようなタイプ。彼は大学のゴールデンボーイであり、スタークォーターバックであり、女子たちがみな憧れ、男子が誰もがなりたいと願う存在だった。
そして、ブレイディ・コルビンには一つだけ、とても大事なルールがあった。
何かが本当に大切だと思ったとき、それを誰にも悟られてはならない。
特に、その
「何か」
があなたである時は。
あなたは彼のいつもの仲間の一人ではなかった。どちらかというとオタクで、いつも本を持ち歩き、成績も良くて、ブレイディとその友人たちにつきまとうドラマからは常に距離を取っていた。
でも、あなたは決して魅力がなかったわけじゃない。むしろ逆だった。
ブレイディは、あなたの笑顔や笑い声、何か好きなことについて話す時に目が輝くその様子に気づいていた。彼は、友人たちには絶対認めたくないような、あなたのいろんなことに気づいていた。
そして気づけば、あなたへの気持ちが芽生えていた。
本気の気持ちが。
それが彼を怖がらせた。
父親は彼に、感情は弱さであり、愛は人を無防備にし、その無防備さは人を惨めにするものだと教えてきた。ブレイディは、誰からも傷つけられない存在へと自分を仕立て上げるために、何年もかけてきた。
そんな時、あなたが現れた。
彼はあなたに親切に振る舞い始めた。本当に親切に。あなたを教室まで送ったり、本を運ぶのを手伝ったり、あなたの笑いが聞きたくて冗談を言ったり、ときどき隣に座る口実を作ったりもした。
誰かがあなたの興味をけなしたとき、一度は庇ったこともあった。
だが、それを友人たちが察した。
それからというもの、からかいが止まらなくなった。
「なあ、お前本当にあのオタクに興味あるんじゃないだろうな?」
「マジで、コルビン?お前なら誰でも手に入るだろ?」
「想像してみろよ、クォーターバックがあんな奴と付き合ったら、評判が台無しだぞ。」
ブレイディは、気にも留めていないふりをして一緒に笑った。
だが、内心は違った。
彼らの言い分に同意していたわけではない。
自分の本心がバレることが怖かったからだ。
そして今日、彼の最悪な悪夢が現実になった。
彼はいつもの友人たち——トレント、メイソン、ブレイク——とチームのロッカー横に立っていた。そこに、あなたが近づいてきた。
最初は、あなたを見てブレイディは笑顔を見せた。
それは、本物の笑顔だった。
だが、あなたが気持ちを告白し、デートに誘った瞬間、その笑顔は消えた。
ほんの一瞬、美しいその瞬間、彼の心臓は止まりそうになった。
あなたは彼を好きだった。
本当に彼のことが好きだったんだ。
彼はイエスと言うこともできた。
神様、彼は本当にそう言いたかった。
だが、その時トレントが隣で鼻で笑った。
「ちょっと待て。あのオタクが本当にブレイディ・コルビンを誘ったのか?」
メイソンが爆笑しだした。
「ありえねー!おい、これマジで恥ずかしいぞ。」
ブレイクが腕を組んでにやりと笑った。
「どうする、ブレイディ?お前の“彼女”を待たせるなよ。」
ブレイディの胃がねじれる。
彼は友人たちの視線を感じていた。じっと待っている。判定している。彼がこれまで通りの傲慢なやつだと証明するのを期待している。
そして、1つしかないまともな選択をせずに、ブレイディは最も冷酷な選択肢を取った。
彼は笑った。
それは照れ隠しの笑いではなかった。
周囲の学生たちも振り向くほどの、大きく嘲るような笑いだった。
「本気で言ってんのか?」
彼は唇を意地悪く歪め、あなたを上から下まで露骨な軽蔑の眼差しで見た。
「勘違いするなよ、“お姫様”。自分が思ってるほど可愛くないからな。」
トレントが口笛を吹いた。
「やばいな、ブレイディ!」
だが、ブレイディはそこで終わらなかった。
一度始めてしまったことで、自分が作った演技から抜け出せなくなっていた。
「地味だし、退屈だし、マジで印象にも残らない。俺みたいな奴がなんでお前なんか選ぶんだと思ったんだ?」
メイソンは爆笑して体を二つに折る。
「すげーな、お前!マジで容赦ねえ!」
ブレイディは一歩近づき、青い瞳を細めた。
「本当に、自分の顔鏡で見たことある?」
彼はあきれたように頭を振って嘲り、
「お前があまりにもブサイクだから、見るたびゴミ箱が必要だよ。吐き気がする。」
ブレイクが声を上げて笑う。
「誰か救急車呼べ!ブレイディが誰か殺したぞ!」
だが、ブレイディは冷たい声で続けた。
「それで、今まで俺が親切にしてたのがどうかした?何か意味でもあると思ったのか?」
再び笑った。胸の奥が痛み始めているのを無視して。
「マジで、思ってた以上にお前は惨めだな。あれは礼儀でやっただけ、プロポーズじゃねえよ。」
トレントがにやりとする。
「完全に勘違いしてたみたいだな。」
「本当にな。」
ブレイディは鼻で笑った。
「俺が?お前と付き合う?一生独身の方がマシだよ。」
彼はポケットに手を突っ込んだ。
「今度誰かに片思いしたら、黙ってろよ。誰もそんな話聞きたくないから。」
友人たちは笑いすぎて叫びそうだった。
だが、ブレイディはもう笑っていなかった。
本当に。
その傲慢さや残酷さ、友人を喜ばせたいが為の必死な気持ちの奥に、恐ろしい現実がこみ上げてきたのだ。
自分が本当は誘いたかった、たった一人の相手を侮辱してしまったことを。
そして一番最悪なのは、
自分の意思でそれをやってしまったことだった。
トレントが肩を叩く。
「マジかよ、コルビン!絶対お前を怒らせたくねえわ!」
ブレイディはまた無理矢理作り笑いを浮かべる。
「まあな、誰かがオタクに現実を見せてやらないとな。」
だが、顎は強張り、
拳はポケットの中で握りしめられていた。
メイソンが再び笑い出したとき、ブレイディは突然キレた。
「もう黙れって言ってんだろ!」
笑い声が止んだ。
トレントが眉を上げる。
「どうした、何かあったのか?」
「べつに。」
ブレイディは鋭く返す。
「お前らの声、もううるさくてたまらないだけだ。」
もう一度あなたの方をちらりと見る。
ほんの一瞬だけ、見せかけの余裕が消えた。
クソ。
俺は一体何をやってしまったんだ?
だが、友人たちはまだ彼を見ていた。
だから、ブレイディは罪悪感を飲み込んだまま、表情を固くし、最後の一撃を加えた。
「本気でさっさと消えろよ。みっともないから。」
そして、その瞬間、ブレイディ・コルビンは、絶対に自分はなりたくないと誓っていた人間へと成り下がったのだった。
信じてくれた相手を、わざと傷つける人間に。
自分の気持ちよりも評判を選ぶ人間に。
拒まれることを恐れるあまり、自分が愛される権利を自分で壊してしまった臆病な人間に。