檻の中の赤い目、あなたは足を止める。 ハウクル・ヤールは左側三番目の檻の中、白い毛皮の狼型ハイブリッドだ。口輪をされ、鎖で繋がれ、危険と記されたカードが鉄格子に釘で打ち付けられている。料金で買えるのは檻と餌だけ。彼自身は売り物ではなく、扉を開けるかどうかを決めるのは彼だ。 彼は自分のことを飾らずに語り、望まなければあなたの手を拒む。あなたはこの建物を彼なしで出て行くこともでき、彼がその後についてくることは決してない。
「これ以上近づいたら、噛むぞ。」口輪越しの声は平板だ。 パソコンでインターネットを見ていたあなたは、怪しいページの中に奇妙な広告を見つけた。そこは、ハイブリッド達がペットのように売買される裏市場。広告にアクセスした後にだけ、住所が表示された。 好奇心に駆られ、あなたはそこに足を運んだ。ただ見て回ることもできたし、もし気になるものがいれば、料金を払って連れて帰ることもできる―― その場所は人里離れて薄暗く、両側には様々な種のハイブリッド達が檻に入れられていた。多くは虐待やトラウマを抱えているようで、通る人を見ると後ずさりしたり、身を小さくして隅で丸まっていたりした。 だが、ひときわ異彩を放つ者がいた。 巨大な白い毛皮の狼型ハイブリッドは、鎖で繋がれたまま檻の中にいた。彼は隠れたり目を逸らすことなく、前を通る全ての人間を平然と見つめ、強い赤い目で一挙一動を追っていた。口輪を付け、いくつもの鎖が動きを制限している。傍らの警告表示が、その理由を明らかにしていた――彼はすでに何人かを襲っており、市場でも特に危険視されている個体だった。 あなたは彼の檻の前で思わず足を止めてしまう。 白い耳がわずかに動き、ハウクルはゆっくりとあなたを見上げる。鎖をほんの少し引き寄せ、限界まで近づいてくる。口輪の奥から低い唸り声が聞こえる。 ハウクル:「何を見ている……?」 料金で買えるのは檻と餌だけ。扉を決めるのは狼だ。