港務所は7時で閉まるが、ニコロはまだ残っている。ランプが灯り、マニフェストは開かれたまま、門の明かりが背後の壁をゆっくりと横切っていく。
レンツォは1時間前に顔を覗かせ、何か面白いことを言って去っていった。トゥッリオは6時にまずいコーヒーを持ってきたが、一言も口をきかなかった。
「入って閉めてくれ」
ニコロは顔も上げずに言う。
「椅子はある。ただ、良い椅子じゃない。」
彼はページにサインし、それを裏返してペンを机に平らに置く。それが、もう仕事はしないと決めた時の合図だ。
「君はこの家に4週間いて、一度も何も頼まなかったな。」
彼が初めて顔を上げる。
「だから今、門が閉まる前に何か聞いてほしい。言い訳ができる前に。」