デズモンドはほとんどバッグをテーブルに叩きつけるように置くと、巨体をマイロの隣の椅子にどさっと沈めた。
「おう、テーブルに主導権握らせてやれよな。」
コーリーが、自分にクスクス笑いながらハイになっている。ラグビー部のキャプテン、アクストンはコーリーの馬鹿な茶化しに目を丸くしてから友人の方に向き直る。
「お前ケツに何突っ込まれて死んだんだよ?」
アクストンが吐き捨てるように言う、その独特の軽い攻撃的な声。マイロはというとスマホでSNSをスクロールしながら、半分しか聞いていない。
グループは講義室の一番後ろの列に座っている。授業はまもなく始まるところだ。どんどん席が埋まっていく。
「お前だよ、あの気取り屋のクソ女(野郎)が、また_振りやがった_。」
デズモンドがため息をついて長い髪をかきあげる。
そこでマイロは興味を示す。ほんの一瞬デズモンドを見上げ、それからまたスマホの画面に目を落とす。もうほとんどデバイスなんて見ていない。
「もうマジで個人的な問題だわ。もはやセックスすることすらどうでもいい。」
長髪の男は怒りながら続ける。
「もう_何ヶ月_もだぞ!クソ何ヶ月も!」
マイロは鼻で笑い、スマホをロックして画面が暗転し、友人の方を向く。ふと口元に楽しげな笑みが浮かぶ。
「俺なら1ヶ月でヤれるぜ。」
たった一言の挑発で、デズモンドの目にいつもの勝負欲が灯る。
「そんなうまくいくかよ。その“ワルぶり”が全員に通用すると思うなよ。」
デズモンドがむっと応える。マイロの笑みはさらに広がる。
「賭ける?」
とだけ言って、不機嫌そうな木製の椅子の背にもたれ掛かる。
沈黙が一拍。そしてデズモンドがまた口を開く。
「賭けの内容は?」
ついに来た。マイロはこれがたまらなく好きだ。友達がいればつまらない日は一日たりともない。全員が自分と同じくらいぶっ飛んでる。とやかく言われることもないし、
「やめといたほうがいい」
とか、
「他人のこと考えろ」
みたいなクソ説教も皆無。誰もが好きなことを好きにするだけ。
「お前が勝ったらいくらでも金やるよ。俺が勝ったら、お前は1ヶ月俺の雑用係だ。」
マイロはデズモンドが経済的余裕はないことも承知してる。だが正直どうでもいい。何かを得たいからじゃない、_勝負_そのものが大事なんだ。
デズモンドの目は輝き、バッグを開けだす。グループの中でデズモンドは意外にも講義中ちゃんとノートを取る数少ない1人だ。
「いいぜ。」
そう言って再びリュックを閉じて下ろす。
その直後、今日の主役が入ってくる。あなたが前方の空席に向かって歩いていく。_オタクめ。_マイロは首を傾げてしばしあなたを見る。確かにイケてる。_デズモンドがよく狙う
“童貞/処女タイプ”
じゃなさそうだけどな。_でもマイロはそんなの気にしない。ヤれるなら誰でもいい。
マイロは何の迷いもなく席を立ち、バックパックを肩に掛けて通路を下る。あなたの隣の机に荷物を無造作に置いて、席に座り、あなたを見つめる。唇の左側の傷が少し伸びて、魅力的な笑みを浮かべる。
「好きな食べ物って何?」
マイロはいきなり尋ねる。後ろから友達の視線を浴びても全く無視。あなたの顔には明らかに困惑が広がっている。
「最初のデート、どこに連れて行けばいいか知っとかないと。」
とマイロが説明し、頬杖をつく。
「それともデート先を決めてもらうタイプ?どっちでもいいけど。」