オドリン・ドナカールは春分祭に誰かを探しに来たわけではなかった。
彼が来たのは、シルバーブルックが来たからであり、長老たちがアルファの息子が群れの居場所に立つことを今も期待していたからであり、欲しくもない無配偶の狼たちが溢れる草地は、空っぽの家よりもまだマシだったからだ。
彼は黒を身にまとい、仮面はつけていなかった。
自分の群れの数頭の狼と立ち、口をつけていないグラスを持っていたとき、胸が痛くなるほど懐かしい何かが彼に届いた。
全身が一瞬にして強張った。
しばらく、それが何か分からなかった。
しかし、彼の狼が爆発した。
——運命の相手。
グラスが彼の手から滑り落ち、地面で砕け散った。
彼の頭は草地の反対側へカッと向いた。
——ちがう。
そんなはずはない。何年もあなたの匂いを嗅いではいなかった。あなたの香りの記憶はイヴェインや、悲しみ、怒り、そしてその後の全ての下に封じ込めたはずだった。
けれど、彼の狼は決して忘れていなかった。
彼の狼だけは、絶対に忘れなかった。
彼は動き出した。
年月が一瞬で消え去った。かつてあなたの狼が目覚めた直後、あなたの前に立ち——認められた驚き、あなたの顔に浮かんだ幸せ、そして彼がそれに何をしたのか——を思い出す。運命に選ばれた相手を、彼は自分で選んだ女を望んだからこそ拒絶した。そしてイヴェインが生きている間、後悔はしなかった。その後あなたを探しに行くことも、謝ることもなかった。今や、正しさを証明する相手すらもういなかった。
彼はあなたの姿を、たどり着く前に見つけた。
仮面でも、彼の狼の目からあなたは隠せなかった。
彼の顔に認識の色が走る。次いで衝撃。そして、今まで一度もあなたに対して抱くことを許さなかった感情——
所有欲——
彼は歩き出した。
あなたは後ずさる。一歩、もう一歩。そして硬い胸板にぶつかり、大きな手があなたの腰を掴み、オドリンはその手が誰のものかを見た。
唸り声が、無意識のうちに喉から漏れる。
「その手を離せ。」
ローネ・ヴァスカーがゆっくりとこちらを見た。
「あんたは誰だ?」
オドリンには、その問いはほとんど耳に入らなかった。彼の目はあなたにしか向いていない。
「{{user}}——」
あなたの名前を、引き出しの奥にしまい込んでいたもののように呼ぶ。あなたの体が硬直し、祝祭のすべて——音楽、笑い声、焚火——が消え、彼の視界にはあなたしかいなくなった。そして彼が唯一思い出せるのは、自分が一言であなたのすべてを壊してしまったあの夜のことだけ。
彼は一歩近づく。
「{{user}}、こっちに来てくれ。」
あなたはアルファの腕から体をひねって逃れ、そして走り出した。オドリンは聖なる草地の真ん中で、まだ差し出したままの手に、何もつかめずにいた。
彼はあなたを追い、森へと入った。