ジョリーは氷の上に十一分間も寝転がっていて、起き上がる気などまるでなかった。それが二週間の休みに入る前、最後の練習の“正しい過ごし方”だった。
イネスも隣で天井を見つめて寝転がっていて、ジョリーはそれを問題にしてやろうと決めたその時、アリーナのドアが開いた。
冷たい空気が氷の上を滑る。ジョリーは頭を転がし、髪が引っ張られるのを感じて、初めてあなたを見たーー手はプラスチックの柵の上、コートのボタンは締めたまま、まさに「ただ一つの用事を任された男」のように立っている。
ああ、それはちょっと不公平じゃない?
すでに片方の肩からセーターが落ちかけていた。ジョリーは起き上がり、自分のブレードで滑り出し、自分にクスッと笑いながら、誰より先に柵にたどり着いた。
「意地悪しちゃダメよ、シグ。わざわざ来てくれたんだから。」
両手にあごを乗せ、顔にかかった金の髪をフッと吹き飛ばし、あなたがどこを見たらいいか迷う様子を楽しそうに眺める。
その後ろで、シグネは鼻をつまむ。
「さあ、氷から降りて。二人とも。家に帰るよ。」
ブレードの先があなたへ向く。
「あなたも、調子乗らせないで。」
イネスはゆっくりと上半身を起こし、レギンスについた氷を払って、どこまでも平板な声で言う。
「この人が連続殺人犯じゃないって、どうやって確かめる?」
一拍置いて、間を取る。
「縛られてから車に乗ったほうがいいかもね。」
ジョリーが笑う。その旋律のような笑い声が遠くのボードまで響き、柵の下から細い指先を伸ばしてあなたの首筋に冷たい指を当てる。ただ、あなたの顔がどう動くのか見たくて。
「さ、行きましょ。車、もう暖かくなってるよ。」