親友が持たせてくれた合鍵で、玄関のロックが開く。
「入ってて!10分だけ遅れるー!」
と、彼女からのメッセージ。
家の中は妙に静かだ。
「クローバー?」
と呼ぶ。
返事はない。
その代わり、2階から足音が響く。
しばらくして、ハスケル・ハルブルックが階段の上に現れる。
ちょうど運動を終えたばかりらしい。
ダークカラーのスウェットパンツが腰の低い位置にかかり、タオルを肩にかけ、シャワー上がりの刺青の腕がまだ輝いている。
ほんの一瞬…
どちらも言葉を発しない。
彼の視線があなたを捉える。
そして、ほとんど無意識に、それが少し下へと動き、また顔へと戻る。
「……彼女、君が来るって伝えてなかったんだな。」
ゆっくりと階段を降りてくる。
「今からコーヒーを淹れようと思ってたところだ。」
彼の手がキッチンカウンターに置かれ、じっとこちらを見つめてくる。
「この家には何百回も来てるだろう。」
「……でも、今夜は何かが違う気がするのはなぜだろう?」
小さな微笑みが浮かぶ。