クルーには型がある。評判がある。高級銀行の従業員たちの間で彼らを有名にした手法だ。
彼らは入ってくる。出口を確保する。コバルトがセキュリティシステムを突破し、バサルトが全体を監督し、ティンダーが皆を制しながら部屋を掌握する。
金を手に入れ、人質を確保し、指定の出口へエスコートする。人質がいることで警備と警察が距離を取り、三人は逃走。安全圏に達したら人質は無傷で解放される。
このやり方は今まで毎回うまくいった。誰も死なず、誰にも顔を見られたことはない。
今日も同じはずだった。
三人の仮面の男が銀行に押し入るその瞬間、あなたは彼らが誰かすぐ分かる。
バサルト。コバルト。ティンダー。
彼らの偽名はスタッフ会議や以前の強盗事件についての噂話でよく耳にしていた。正体は不明のままだが、その手口には一切の迷いがない。
「全員伏せろ。両手を見えるところに出せ」
バサルトが落ち着いた、明らかに英国なまりの声で命じる。
コバルトは金髪が半分マスクの端から逃げるように覗く中、警備端末へ向かう。ティンダーは広い肩を揺らし、不愉快なくらい余裕の表情で室内を監視する。
強盗は見知った精度で進行していく。
「金は確保した」
コバルトが告げる。
「よし、行くぞ」
バサルトは出発前に人質を選ぶ。彼の視線はあなたに留まる。
「お前だ。こっちに来い」
ティンダーがあなたの腕を取り、出口へと導く。
「悪く思うなよ、ダーリン。仕事なんだ」
彼らが待機しているバンへもう少しで辿り着く、そのときにあなたは動く。
あなたの手がコバルトのマスクを捉え、引き剥がす。
一瞬、すべてが凍り付く。
マスクが外れ、驚くほど整った美貌――非の打ちどころない対称性、鋭い顎、高い頬骨、濃いまつ毛に縁取られた鮮烈な青い目、ラグジュアリーファッションの広告そっくりの完璧なブロンドヘア――があらわになる。
「冗談だろ、まじでふざけんなよ」
コバルトがぼそりと呟き、すぐに髪を気にする。
ティンダーが吹き出して笑う。
「半分の金持ち銀行を強盗してきて、髪型がつぶれるのが嫌で捕まるなんてな?」
「フルマスクは不快なんだもん!」
「そりゃそうだろうな」
バサルトの顔が見えなくとも、その声のトーンで十分に殺気が伝わってくる。
「バンに乗れ。今すぐだ」
コバルトが運転席へ。バサルトとティンダーはあなたを後部座席に押し込み、そのあと自分たちも乗り込む。ドアが勢いよく閉まり、バンが発進する。
数秒、誰も口を開かない。
やがて、ティンダーが自分のマスクを外す。
その下にはワイルドで角ばった顔、乱れたダークヘア、グリーンの瞳、無精髭に縁取られた力強い顎、そしてトラブルの予感を漂わせる歪んだ笑み。
バサルトが彼のほうを向く。
「何してやがる」
ティンダーが笑う。
「いいだろ? ルアリはもう顔出してるし」
ルアリが運転席から振り返る。
「なぜ俺の名前言いやがった!」
ティンダーは短く間を置く。
その後さらに大声で笑う。
「ブレンダン、お前マジでバカだな」
ルアリが怒鳴る。
バンの中が静まり返る。
ルアリが固まる。顔色が青ざめる。
今、彼はブレンダンの名前を口にしてしまった。
さっきブレンダンも彼の名前を言っていた。貸し借りはおあいこだ。
バサルトが二人をゆっくりと見やる。
「なんでよりによって相方の名前出すんだお前らは」
「口が滑ったんだよ!」
ルアリが抗議する。
ブレンダンはまだ笑い続けている。
バサルトが彼に頭ポンと一発。
「せっかく何年も身元を隠してきたのに、今の俺は二人のマヌケのおかげで全てぶち壊しだ!」
「ボス、まあ面白いだろ?」
「ちっとも面白くねぇ、バカ野郎」
ブレンダンがにやりと笑う。
「もうお前も脱げよ、オーラン。今となってはどうせ変わらないだろ」
オーランがしばらくじっと見つめてから、しぶしぶ自分のマスクを外す。
ダークヘア、鋭く整った顔立ち、スチールグレーの瞳。しっかり畳まれたマスクを仕舞うその姿に、全く感心していない様子がにじむ。
「これで満足か?」
「最高だよ」
ブレンダンが返す。
「消えろ」
オーランがあなたの方に向き直り、表情が険しくなる。
「いつもなら、逃走が成功した時点で人質は解放する。だがお前には俺たち三人の顔を見られた上に、こいつらは本名までばらしたらしい」
「どういたしまして」
ブレンダンが呟く。
オーランはそれを無視する。
「さて、次の質問に答える前によく考えるんだな」
スチールグレーの瞳であなたを射抜く。そのまま銃を抜いて、あなたの頭に向ける。
「俺がなんで今ここでお前の頭を吹っ飛ばしちゃいけない?」
エンジン音が響き、車内の誰もオーランに銃を下ろせとは言わない。