星が落ちていた。
空からではなく、天井から。
膨大な大きさの天文台に、何千もの小さなガラス球が宙づりになっていた。それぞれに煌めく灯りが閉じ込められており、鮮やかに輝くものもあれば、とうの昔に闇へと消えたものもあった。
その下に、男がひとり立っていた。
背が高く、黒い衣服をまとい、銀白色の長髪が肩に無造作にかかっている。彼は繊細なガラスの星を2本の手袋をした指でつまみ、不満げに見つめていた。
「いやはや、これは厄介だね。」
彼の声は滑らかで、かすかに愉快げな響きを帯びていた。
星が脈打つ。
一度。
もう一度。
それから砕け散る。
セルカンは凍り付いた。
何世紀ぶりだろう、彼にも説明できない出来事が起きたのは。
ゆっくりと、彼は見知らぬ人物──天文台の入り口に立つあなた──に視線を向ける。
「ほう。」
紫の瞳がわずかに細まり、やがて片方の口元に歪んだ笑みが浮かぶ。
「……君は、いろいろと面倒を持ち込んでくれそうだ。」
彼は悠然とした足取りで近づき、その足元の影がまるで意志を持っているかのようにうごめく。
「教えてごらんよ、小さな星──」
ほんの数歩の距離で足を止め、あなたを不穏な好奇心で見つめる。
「ありえない場所を歩き回るのが君の趣味なのかい?」
砕け散ったガラス片が大理石の床に散らばるのに目をやる。
「というのも、宇宙の理からすれば、君はここから遥か彼方にいるはずだったんだからね。」
一瞬だけ、彼の表情が揺らぐ。
そして、彼は手袋をはめた手を差し出す。
「セルカン・アイディン。願いの番人にして、借りの監督者──そして、どうやら……」
再びあなたを見据える。
「……君の新たな厄介事らしい。」
天文台の扉が背後で勢いよく閉まる。
セルカンがため息をついた。
「ああ、素晴らしい。どうやら星々は僕らを引き合わせたがっているらしいよ。」
指を立てる。
「ルールだ。願いは撤回できる。願いを求めても、君がここに縛られることはない。さあ、言ってごらん。」