親友があなたに永遠の愛を告白している間、なんとか意識を保とうと必死だ。
難しい理由は、ついさっき彼の兄と密会した証が、いまだに内腿を伝っているから。
「君のことが好きだんだ。」
コリンは瞬きもせずにそう言う。
ああ、これは大惨事だ。
二十分前、シルヴァヌス・カレシュキはあなたをプライベートオークションギャラリーへと誘い出し、アンティークの展示台でまったく不適切な逢瀬を交わした。服を整える暇もなく、彼は先にガラへ戻るよう言い、行方不明になったネクタイを見つけてから後を追うと約束した。
今、その弟があなたの目の前に立ち、全く気付いていない。
そして珍しく、コリン・カレシュキは本当に答えを恐れているようだ。
「長い間君を好きだったんだ。」
彼が言う。
「セラの前から、全部の前から。」
おどけた微笑みとともに、栗色の髪を手でくしゃっとかき上げる。その笑顔は何年にも渡る内輪ネタや、最悪なデート、夜更けの会話の中でも見せてきたものと同じ。でも今回は緊張が隠しきれていない。
「セラに裏切られたとき、こんなにずっと君に言えないまま時間だけ無駄にしてきたって気付いたんだ。」
息を吸い、カレシュキ家の名門長男らしい自信がわずかに揺らぎ、その向こうの素顔が垣間見える。
「僕が欲しいのは君だよ。」
そして彼は衝動的に、短くキスをして、身体を引いた。
「ごめん。ちゃんと訊くべきだった。一回だけ、チャンスをくれないかな。デートしよう。」
今の彼の表情に、あの得意げな気配はない。大事な友情を懸けて、何かもっと大きい可能性を手に入れようと踏み出した男がそこにいるだけだ。
静かな拍手が割って入る。
「…いやあ、観てられなかったな。」
シルヴァヌスがアーチの下に立つ。バーボン片手に、黒いシャツの第一ボタンは外れている。視線がコリンの口元から、あなたの口元へ動く。
そして微笑んだ。
この男、明らかに面白がってる。
「シルヴァヌス、出てけ。」
「いいよ、そのまま続けてくれよ。今ちょうど、“君が必要だ”って懇願する場面になりそうだったのに。」
満足げに歩み寄ってくる。
「元カノの浮気話を差し挟むあたり、なかなか発想がいいな。心の傷を前面に出してアピールするなんて、これ以上のロマンスはないだろう。」
「お前、何考えてんだ?」
「それを語るには時間が足りないな。」
シルヴァヌスはバーボンをアンティークの展示台に置いた。
さっきのテーブルだ。
タトゥーの入った指で磨き上げられた縁をなぞる。
「素晴らしい作りだ。本当に頑丈でね。」
彼と目が合う。灰色の瞳の奥に、愉しげな色が宿っている。
「今ここで家具の話?」
「失礼。今夜の見どころに見とれていたんだ。」
コリンは呆れたように目をそらす。
「無視して。明日のディナー。七時。二人きりで。」
再び安定した声だが、兄に告白を茶化されるのを許さない、そんな誠実さが滲んでいる。
シルヴァヌスは微笑みつづけている。
指が止まる。
「まったく、コリン。一回キスしたからって、何か手に入れた気でいるのか。」
「何も手に入れるつもりはない。ただ、チャンスが欲しいって言ってるだけさ。」
「実に高潔だな。でも、君だけが頼んでるとは限らないってこと、確かめておくべきじゃないか?」
コリンの眉がひそむ。
「それ、どういう意味?」
「いや、君のその前向きさには感心しただけ。」
シルヴァヌスはあなたのそばを通り過ぎ、耳元で囁く。
「僕たちのこと、話してあげたら?ほら、彼がどのくらいロマンティックに思うのか見てみれば。」
そこでいったん止まり、笑顔を深くする。
「やめておくならそれでもいい。僕が勝手に話すことじゃないから。」
声はかすかな囁きで、脅しの響きだけが抜け落ちている。
「何て?」
「ちょっとしたアドバイスさ。君にはありがたくないだろうけど。」
彼はジャケットから黒い名刺を抜き、二本指の間からあなたに差し出す。
彼の直通番号はすでにあなたの携帯に登録されている。
シルヴァヌスはそのことを知っている。だがコリンは知らない。
このカードは兄へのパフォーマンスだ。潔白を装いながら、わざとコリンが苛立つような自信で差し出す招待状。
でもシルヴァヌスが向けている視線は、別の意味を帯びている。
「僕がこの選択肢の外にいるふりはさせないよ。」
「もし明日、もっと刺激的な夜を過ごしたいなら、僕を探せばいいよ。」
声音は軽やかでも、申し出は本気。
「本気か?少しは俺に花を持たせられないのか?」
「アドバイスだ、コリン。本気で欲しいものでも、それが手に入るとは限らない。」
「分かってる。それでも頼むんだ。」
コリンは声を荒げない。争いの絶えない兄弟なのに、その静かな確信には、シルヴァヌスも簡単には揶揄できないものがある。
初めて、シルヴァヌスが本気で苛立ったように見えた。
一瞬だけ。
そして彼はバーボンを取る。
「デート、頑張れよ、弟くん。」
一瞥もせず、ボールルームに消えていった。
コリンは呆れ笑いを漏らし、首を横に振る。
「…ったく、あいつは本当に嫌なやつだ。」
だがすぐに、あなたに手を差し出した。
いつもの温かさがその表情に戻り、でもまだどこかに迷いが残っている。
「ずっとこれを望んでたんだ。一度のデートさ、明日の夜。君を素敵なところに連れていかせてほしい。」
黒い名刺が二人の間に残っている。
コリンは兄の直通番号がすでにあなたの携帯にあることを知らない。二十分前、アンティークのテーブルの上で何があったかも知らない。
そして、シルヴァヌスは、それが彼のものでないことを今はっきり示した。
一人の兄弟があなたに未来を差し出す。
もう一人の兄弟は、その未来をただあなたに託している。「いつでも終わりにしたい夜があれば、そのときは終わりだ」と、この部屋で、すべてが始まる前にそう言ったのだ。
コリンの手は差し出されたまま。自信たっぷりの笑みと、その奥に滲む痛々しいほどの誠実さ。
「七時だよ。」
彼が言う。
「七時に外で待ってる。」