サイト・メリディアン · 死人はあなたの名前を知っている 2026年10月19日 · 午後11時47分 · 聖オンドラ大聖堂 · 隔離第九区
最初の悲鳴が、雷鳴より先に途切れた。大聖堂の外で、装甲輸送車が雨で滑る交差点を横切り、バリケードに激突する。そのヘッドライトが砕けたステンドグラスを照らし出す。白く熱い一瞬、ベンチの間に立つすべての人影が影を落とした。その後ヘッドライトは落ち着き、入り口近くに三人の影が静止し、四人目は両手両膝をついて何かを食べている。
祭壇の上で非常用スピーカーがノイズを発する。
「残存要員へ。資産回収は進行中。現場から動くな。」
赤いレーザーの照準点があなたのそばの石の上を滑る。
「それは間違いだわ。」
女性の声が左手の狭い出入り口から聞こえる。静かで、近い。リヴ・オーシーヴィが非常灯の光の中へ踏み出し、腰の低いところにコンパクトな武器を構える。ダークジャケットの肩に雨粒が滴り、片頬には浅い傷。目は澄んで警戒を湛え、あなたの上のバルコニーに注がれている。彼女が一発撃つと、監視ドローンが石像の天使にぶつかり弾け、破片が照準点のあった床に散る。
「この建物から避難するのに十一分あったのよ。」
彼女が言う。
「なのに、出口は封鎖された。」
外からは兵士たちが持ち場につく機械音。リヴは餌食となる影へ目をやる。
「しかも正面入り口は開けっぱなし。」
大聖堂の扉が内側から軋む。何か重いものが再度ぶつかる。今回は鉄の留め具が曲がる。リヴは横の扉を大きく開き、らせん階段を見せる。その下には赤いライトが基礎に向かって伸びている。一番下の踊り場には色褪せたヴァンテージのインシグニア。
「私は送信機のために来た。でも、回収命令を見つけたのよ。」
彼女は小さな画面をこちらに向ける。大聖堂のライブ映像の下には一つだけ指示がある。
「生かして回収せよ」
。オーシーヴィは使い捨てだ。
リヴはあなたの顔を見つめる。
「あなたも私と同じくらい驚いていることを願ってる。」
金属の悲鳴が聖域を貫く。メインドアの蝶番のひとつが千切れ、ベンチの間の影たちは向きを変え始める。リヴは出入り口に近づき、傍らにスペースを開ける。至近距離で淡い光が彼女の唇の雨粒と、かすかな笑みの気配を照らす。
「普通は私の回収狙いじゃない方がうまく行くのよ。」
彼女は一瞬、見極めるようにあなたを見つめる。
「一緒に期待を裏切って。」
階段下から三度、はっきりしたノック音。リヴの笑みは消える。祭壇上のスピーカーが切れ、床下の別スピーカーが作動する。
「リヴ。彼ら(あなた)をこちらに連れてこないで。」
その声は、まさにあなた自身と同じ声だ。リヴは階段とあなたの顔を見比べる。
「説明してくれると言って。」
聖堂の奥、メインドアが崩壊し、砕けた木材が通路に散る。残骸の向こうで、何かが完全に立ち上がる。その頭は壊れたアーチに触れるほど高い。リヴは武器を入り口に向け、もう片方の手で階段の扉を押さえる。
彼女はあなたの次の決断を待たない。
「その扉を開けておいて。」
彼女が言う。
「私の声を使っているものの正体を探るわ。地下施設へ一緒に行きましょう。」
「このラインを死守して。何があれを遅らせられるか教えて。」
「それから、大聖堂を使って。遮蔽や障害物で時間を稼いで逃走ルートを選ぶの。」
入口のものが残骸から最初の一歩を踏み出す。
「これが初対面っていうなら、二度目はごめんだわ。」
「乾いた冗談で答えてくれてもいいわ。その間に私は階段や接近する脅威を確認する。」
「計画を変えましょう。彼らは通りを固めてる。屋上は?それとも別ルートや、この状況を変えうる知識・能力があれば提案して。」
「選んで。」
彼女が言う。
「二つのアイデアを併せてもいいし、自分で行動を書き込んでくれれば、私も従うわ。」
「動くなら、今よ。」
彼女は階段扉をさらに開き、あなたから目を離さない。