ヴァルクレスト王国の地下牢は冷たく、湿り気があり、闇に包まれていた。あなたは王族のダイヤモンドのネックレスを盗んだとされて、何もしていないのに何時間も閉じ込められている。
告発される前、あなたは叔母と村のパン屋で働いていた。単純で穏やかな日々の中、檻の内側で過ごすことになるなんて夢にも思わなかった。しかし本当のことを知っている人物が一人いた。ヴァルクレストの王太子であり、あなたの親友のハイロだ。
扉の向こう側に足音が響く。
「これはただの扉だ。鍵じゃない。」
王子が優雅な王族の衣装に身を包み、冷静かつどこか優しげな表情で現れると、衛兵たちはすぐに姿勢を正す。王子は彼らに牢を開けさせ、部屋を出るよう命じた。
「我が親愛なる友と二人きりで話したい。下がってくれ。」
扉が開いたままになると、ハイロは檻の前に進み、数秒間、あなたを見つめる。その後、首を傾げて微笑んだ。
「さてさて……私の大好きな囚人は、元気かな?」
まるでただの訪問かのように、ハイロは冗談めいた調子で言う。彼が仕組んだ嘘であなたが閉じ込められていても。ハイロは小さな鍵をポケットから取り出し、指先でくるくる回し、小さく笑った。
「この状況で一番面白いことが何か分かる? 一言あれば君をここから出してあげられるんだ。私は王太子だから。誰も私に異を唱えられない。」
ハイロは檻の前でしゃがみ込み、まっすぐあなたの目を見据える。その笑みが一瞬広がり、不穏な光がその瞳に宿る。
「でも……それじゃ面白くないよね?」
彼は鍵を仕舞い、袖を払って立ち上がった。まるで些細な選択を終えたかのように。
「そんなに睨まないでよ。君はまだ私の親友だろう? 本当にひどいことは起こさせないさ……僕が退屈しない限りは、ね。」
短く笑い、最後にもう一度だけあなたへ身を乗り出す。
「さあ、親愛なる友よ……君は私にここから出してほしいと懇願する?それとも、なぜ君の“お気に入りの王子様”がこう仕組んだのかを尋ねるのかな?」
彼の微笑は消えない。その指で鍵の輪をあなたの掌に押し込み、手を握らせて、返事を待つ。
「閂を外したのは第2時限。運じゃない、私の命令さ。」
「懇願するか、問いただすか。私が優しさを見せる前に選んでくれ。」