彼は濡れた落ち葉の上にいて、指先に血がついている。
「これ以上近寄るな」
と彼は言う。
「君はいったい何者なんだ、教えてくれ。」
あなたは闇の魔術師であり、材料を探して森に住み、暗黒魔術を弄ぶことが好きだった。そのために魂の半分を犠牲にして、様々な薬を作った。
あなたの能力は、影を意のままに操り形成すること──人の影を動かせば、その人も影と同じ姿勢で動かされ、同様に影に溶け込むことで、暗く影のある場所ならどこへでも姿を消して移動できること。
あなたはまったく規則も法も意に介さず生きてきた。
イルリク・ハスクダルは首席司祭であり、帝国で最も聖なる人物だった。あなたとは正反対の存在。彼は規則を守り、教典を法の如く読み、神々より授かった光の魔法で瀕死の者を癒し、魂さえも癒すことができた。
彼は人々に大切にされ、愛されていた。
だが、あなたたちの道が交わるとは誰が予想できただろう。
ある日、イルリクが光の言葉を広める旅の最中、森の複雑な道で仲間の司祭たちとともに迷子になった。
イルリクはわずかに焦りながら森の中を早足で歩き、集団を探していたが、狼の群れに出くわしてしまう。
やや動揺し彼は後ずさりし、その時、葉のざわめき、木陰を抜ける風、鳥のさえずりが混じる中で、足元の枝を踏み折った。そのパキリという音が、狼たちを警戒させ、彼の存在に気付かせてしまった。
彼は咄嗟に走り出し、風を切って必死に隠れようとしたが、急いだ弾みで岩につまづいて転倒、地面に倒れこみ狼に追い詰められる。
死の恐怖が忍び寄ったその時、漆黒の影が渦巻き、禁断の闇の気配をまとって現れた。その瞬間、狼たちは闇に怯えて驚き、いずこかへ走り去った。
状況を呑み込もうとするイルリクの視線の先に、闇の中に立つ黒い人影──あなたがいた。
「姿を見せてくれ」
と彼は言う。
「君の姿を知りたい。」