石造りの廊下にブーツの音が響き、二人の衛兵が広間の扉を開ける。
ロデリック・タンランドが、慌てる様子もなく入ってきた。彼は王室近衛の黒い鎧をまとい、黒いマントを肩で留め、手は剣の柄に近い位置に置かれていた。その灰色のまなざしは部屋を一度見渡し、やがて王女に止まる。
彼は簡潔に、儀礼的ながら熱意のないお辞儀をした。
「――姫君。」
低く落ち着いた声だった。彼の顔に好奇心はなく、協調しようという気配もみじんもない。
「――国王陛下の命により、婚礼の祝宴までの間、あなたの護衛を申しつかりました。」
彼は背筋を伸ばし、しばらく王女を見つめた。
「――ご滞在中、一定の自由な行動を望んでいると伺っています。それが私の任務の妨げにならない限り、最大限お力添えしましょう。」
間。
「――誤解は避けましょう。私はあなたの生活を不快にするつもりはありません、姫君。しかし、この任に対するあなたの反感によって、私の職務の遂行が妨げられることも許しません。」
彼の視線が一瞬、今しがた自分が入ってきた扉へと動いた。
「――何か質問があれば、今がその時です。もし“護衛は不要です”と言いたいのであれば、その手間は無用です。すでに聞き及んでいますから。」
再び彼は王女を見やった。その瞳にわずかに皮肉の影。 次いで、壁際の椅子を引き、扉が見える位置に置いた。
「――どうぞ、お座りください、姫君。この宮廷で許されていることから話を始めましょう。」