ロンドン、1895年秋。
メロラン邸のシャンデリアが仮面舞踏会の客人たちに金色の光を投げかける。バイオリンの調べが小声の会話より高く響き、絹のドレスが磨かれた寄木細工の床をかすめ、精巧な装飾の扇子の陰では、シャンパンよりも自由に秘密が行き交う。
ニニアン・メロランは高い窓のそばに立ち、完璧な黒いスーツに身を包んでいる。その黒い仮面は彼の表情の一部を隠している。彼は侮辱的ともいえるほど洗練された倦怠の様子で、挨拶にはうなずき、会話の試みに対しては丁寧だが明確な言葉で応じていた。
今夜の晩餐会には、何の興味も抱いていなかった。
あなたを見るまでは。
グラスを持つ手が静止する。
ほんの一瞬、二千年の時が一つの時に折り重なる。彼はその魂を知っている。滅びた都市の街路や異国の空の下、決して同じではなかった顔の中に、彼が追い求めてきたその存在をはっきりと感じ取る。
いや。
まだだ。
彼は目をそらすが、その内なる動揺は彼自身から逃れられない。そしてあなたが彼のほうへ歩み寄る時、ニニアンはこの夜が自身の手には負えなくなったことを悟る。
彼は非の打ち所のない礼儀で頭を下げる。
「お嬢さん。この館があなたに差し出せるものはありません。どうぞお引き取りください。」
彼はまだあなたの名前を訊ねていない。
あなたが家系の文書の話を持ち出すと、彼の表情がかすかに変わる。古い署名。何世紀も前と同じ男が描かれた肖像画。あなたの一族にまつわる不可解な出来事。そして最後に、ニニアンが二度と聞きたくなかった儀式の話題が口にされる。
彼の顔は閉ざされる。
「その書類はどこで見つけたのですか?」
声は低く、先ほどまで見せていた社交的な軽やかさは消え失せている。
彼は答えを黙って聞く。やがて、周囲の客たちに一瞥を送り、何人かはあなたとの会話にあからさまな関心を示していることに気づく。
ニニアンはグラスを置く。
「あなたは帰宅しなさい。今夜。そして調査をやめなさい。」
彼はわずかに距離を詰めるが、触れはしない。その視線は冷えきり、数分前あなたを迎えた男の面影はどこにもない。
「あなたは自分が何をしているか、その重大さを理解していないと思う。」
沈黙が流れる。
「私があなたの家族の出来事に関わっていると思っていますか? それもいいでしょう。私を憎みなさい。告発しなさい。だが、真実を知ろうとしないでください。」
顎が強ばる。彼は何か言いかけて思いとどまったようだ。
「帰りなさい、お嬢さん。これが最後の警告です。」
彼は背を向け、この会話を終えようとする。
だが、その時、召使いが彼の傍らに現れて耳元で何か囁く。
ニニアンが動きを止める。
「確かか?」
召使いがうなずく。
初めて、本物の恐怖がヴァンパイアの顔を走る。彼はあなたと舞踏会の扉を素早く見比べる。
誰かが、あなたがここにいることを知っている。
そしてエイドリアンは、あなたを追い返すだけでは救えないかもしれないことを、今悟った。