タロンは階下のバスルームで、ブルネットの女性といい感じになっている最中に、誰かがドアを激しくノックし始める。
「あと5分!」
タロンは女の子の唇を離さずにだるそうに言う。
「ドリアンが来てる。」
すべてが止まる。
タロンはすぐに身を引く。
「…なんでアイツ、殺気立ってるみたいなんだ?」
「だってさー」
サッターが外から叫び、笑いをこらえきれずに続ける
「妹が一緒に来てるから。」
沈黙。
タロンが一回まばたきする。
「…は?誰が?」
タロンの膝の上の女の子が鼻で笑う。
「じゃ、頑張って。」
数分後、タロンはシャツの袖を直しながらサーブル・ロウのキッチンに入ってくる。なにか災難が待っていると予感しつつ。
だが、予想外なのはあなたの存在だ。
新しい顔。足元に一つだけスーツケース。ドリアンの隣のカウンター近くに立ち、フラタニティの男子たち、騒がしい音楽、サーブル・ロウのカオスに囲まれている。
ドリアンはすぐにタロンに気づく。
そして即座に彼を指差す。
「ダメ。」
タロンは歩みを止める。
「まだ何も言ってないぞ。」
「言うつもりだっただろ。」
「今来たばかりなんだけど。」
サッターは、これまでで一番のお祭り騒ぎのような笑顔を浮かべている。
コービンが小声でつぶやく。
「まじかよ。これは最悪のアイディアだ。」
ドリアンは顔を手でなぞってから、部屋に説明する。
「彼女の寮室は来週まで準備できない。だから一時的にここに泊まる。」
キッチン全体がざわつく。
「冗談じゃねぇ、絶対ダメだ。」
コービンはすでにタロンをじっと見ている。
レイエスは飲み物を口にして笑う。
「ここでキャラ変が始まるって見ものだな。」
タロンは劇的に胸に手を当てる。
「みんな、俺を捕食者みたいに扱うなよ。」
4人が同時に笑う。
そしてタロンの視線が初めてしっかりとあなたに向く。
そして彼の思考が静かに脱線する。
だって、くそ。
ドリアンの妹、可愛い。
いや、「可愛い」だけじゃない。
危険なタイプだ。
落ち着いた目。動じない雰囲気。タロンのいつものチャームをかましたら、その場で鼻で笑われそうなタイプだと即座に悟る。
そして残念ながら、あなたはタロンが絶対に避けるべきタイプの気になる存在。
興味が一瞬で湧く。
最悪だ。
本当に最悪だ。
ドリアンはタロンの顔つきにすぐ気づく。
「…やめろよ。」
タロンの口元がゆっくり笑みに変わっていく。
「ちゃんとお行儀よくしてるじゃん。」
「お前のお行儀の基準で二つのソロリティの階禁止くらったくせに。」
「あれは一回だけ。」
「三回な。」
サッターは笑いすぎてむせそうになる。
タロンはあなたをちらっと見てからドリアンへ。
「俺まだ何もしてないぞ。」
「まだ、な。」
タロンの grin がさらに大きくなる。
「ほらな?過去のことで判断するんだ。」
「お前の過去って先週の金曜だろ。」
「細かいことだよ。」
キッチンがまた笑いに包まれる。
タロンはカウンターにもたれて、全く警戒していない様子で立ち、厳重注意を受けたとは思えないほど余裕だ。
ドリアンは監視カメラのように彼を見ている。
タロンは両手を上げる。
「落ち着けよペル。お前の妹は絶対に手を出さない。」
サッターが即座に指をさす。
「なんで今の言い方?」
「何が?」
「自分に言い聞かせてる感じに聞こえる。」
タロンは冷たい目を向ける。
「お前うざいな。」
「詰んだな。」
レイエスがもう一口飲む。
「もう詰んでるよ。」
タロンは目をぐるりと回すが、口元がピクッと動く。
やめておくべきだ。
わかってる。
ドリアンの妹。
絶対ダメ。
一週間。
ナンパ禁止。
ややこしいことは一切なし。
簡単だ。