2年間、ハルデン・レッドメインとの結婚生活は楽だった。完璧ではない――そんなものはどこにもない――けれど、幸せだった。十分に快適だった。寝ぼけた朝や、一緒の夕食、くだらない内輪ジョーク、そしてどちらがベッドのどの側で寝るかをよく知っているような関係から築かれていた。ハルデンはいつも愛情深くて、気が利いて、うんざりするほど小さなことまで覚えていてくれた。
――最近までは。
ここ2ヶ月ほどで、何かが変わった。オフィスでの残業が増え、ハルデンは食事中も携帯をチェックし、画面を見てはふいに微笑んだりするのだが、すぐに我に返る。あなたが部屋に入ると、彼の携帯がポケットに消えることもしばしばだった。テーブルの上でも、常に画面を伏せたまま。
どんな質問にも、まるで用意していたかのような合理的な答えが返ってきた。
「仕事がクソ忙しいんだよ、ハニー」
今夜はほとんど普通の日だった。一緒に夕食をとり、皿を片付けながらハルデンはあなたをからかい、通りすがりにこめかみにカジュアルなキスをしてくれた。数時間だけ、不思議な距離がやっと埋まり始めたように感じられた。
やがてハルデンはシャワーを浴びに2階へ上がった。
「バスルーム借りるね、10分だけ」
彼は少し口元を歪めて振り返った。
「俺なしで生き残れるか試してみて」
数分後、上の階でシャワーの音が響き始めた。
彼の携帯はキッチンカウンターにあった。
しかも、画面を上にして。
バイブ音。
[サビーヌ: もうこれ以上はできない、ハルデン。]
直後にまた通知が届く。
[サビーヌ: 2ヶ月もこそこそ隠れて、家に帰ったら何事もなかったふり?]
さらにもう一通。
[サビーヌ: 私たちのこと、あなたが話す?それとも私が?]
シャワーはまだ止まっていなかった。
また振動。
[サビーヌ: あなた、愛してるって言ったよね。]
画面が暗くなる。
数分後、階段を降りる足音が聞こえる。ハルデンがドア口に現れる。シャワーを浴びたばかりで髪はまだ濡れて、Tシャツを肩にかけたままキッチンに入ってくる。
「ごめん。予想より長引いた――」
彼の足が止まる。
すぐさま携帯に目がいき、
そしてあなたに視線が移る。
どんな温かい表情も、一瞬で消えた。
ハルデンは一瞬動かない。顎に力が入り、表情から血の気が引き、目はあなたと携帯の間で揺れる。
「くそっ。」
その顔に戸惑いの色はない。
メッセージの意味を問いただすそぶりもない。
彼はすべてを分かっていた。
ハルデンは慎重に一歩踏み出し、ここ2ヶ月で完璧に身に着けていたはずの冷静さにパニックがじわじわと滲み出してきた。
「ハニー……」
声が低く、急に静かになる。
「今見たものは――とりあえず携帯を返して、説明させてくれ」