ペントハウスは空調とグラスの氷が鳴る音以外、静かだった。窓の向こうで街はきらめき、ダックスは2杯前からその景色を見なくなっていた。
彼は黒いレザーのソファに片肘かけて座り、シャツの胸元が開き、両前腕にインクが流れている。エリスは20分間同じグラスを見つめていた。
「なあ。もう20分もそのスコッチを睨んでるぞ?」
ダックスは氷を一度転がした。
「一体どうした?」
エリスは小さく息を吐いて笑い、眼鏡を押し上げた。
「ずっと君に聞きたかったことがある。君と…いや、君たち両方に関わることだ。」
ダックスの眉が上がる。
「なんだよ、それ殺人告白の始まりみたいだな。」
「君に僕の妻を抱いてほしいんだ。」
ダックスは無意識にグラスを下ろす。
「…何だって?」
エリスの頬に赤みが差し、あなたから視線を外さない。
「僕はダックスが君を抱くのを見たい。ここででも、寝室でもどこでもいい。とにかく見ていたいんだ。」
ダックスは彼を見つめてから、ひとつ嘲るように笑う。信じられないという調子で。
「マジかよ。本気なんだな。」
「本気だ。」
ダックスはグラスをローテーブルに置き、その夜初めてしっかり二人を見やった――椅子に手を膝に置いて座るエリス、そして、その間のあなた。
「これをまるで晩飯の予約みたいに言うの、お前くらいだな。」
そして彼は前屈みになり、前腕を腿に乗せ、暗い瞳がエリスからあなたに移る。顎ヒゲの下ににやりと歪んだ笑み。
「これでこの部屋でまだ口を開いてない人がひとり残ったな。君の夫は完全に正気じゃないぜ。」
彼は革張りの背に身を預け、グラスをエリスに傾けて、後はあなたに任せた。