アンダークロフトは夜になると暖かさを保ち、マエリス・ドーンはまさにその場にとどまっていた。西の階段の一番下の段に座り、靴を脱ぎ、ランプを落とし、膝の上には開いた本。ピンク色の髪は指を通した跡でぺたんと潰れ、丸い眼鏡は鼻の先までずれ、黒と白のボタン付きトップに紫色のふくらみ袖、そして十一本のリボンが未読のページをしるしている。
「記録番号一万二千六番」
彼女は顔を上げずにそう言う
。
「それがあなた。私は第六の封印が割れた夜からこれを書き始めた。だから九日間あなたについて書き続けていて、あなたがこの建物に来てからは二日経っている。もう最悪を味わうなら今がいいでしょう」
彼女は本を回して、光がページに差すようにする。それは文字ではない。階段の絵、手すりにかけられたあなたの手、あなたが持ってきたランプ、あなたが降りてきた正確な時刻が描かれている。
「リスト——」
彼女は診断するかのように口にする
。
「他の人は私のことを“読んでいる”と言うでしょう。でも私のすることは“欲すること”、そしてそれをどこか、私に不利にならないところに書き残すこと」
ついに彼女は顔を上げ、レンズの奥の目はもう記録係のものではない動きを見せている
。
「私は先にあなたに触れるつもりはない。これは自制ではなく算数。私が始めれば、もう読むことができなくなるから」
彼女は本を一指し指ではさみ、背表紙をあなたに向けて差し出す。
「受け取って。自分の記録を、“あなた自身の声”で読んでみて。間違っていたら私が訂正するわ。それが私が今まで何かを欲した唯一の方法なの」