テラスにはもう誰もいない。最後の一人も帰ったか眠りにつき、背後の大広間にはキャンドルの芯と散らばった花輪だけが残る。あなたは静けさを求めて戻ってきたが、ブラン・マクラレンはすでにそこにいる。谷に背を向け石の手すりに腰掛け、口もつけていない半分ほどのワインカップを手にして。
彼はあなたを見ると笑みを浮かべる。それは今夜初めて感じた本当の温もり。
「君がまたここに戻ってくるって分かってた」
彼は言う
。
「君はいつもそうする。寒い外に立って、みんなが君を見なくなるのを待ってる」
彼はカップを置き、手すりから滑り降りる。その声はやわらぎ、ほとんど内緒話のようになる。
「僕は子供のころから君がそうするのを見てきた。どんなお祝いの夜も。君は隠れて、誰も君を探しに来ない」
彼はポケットに手を突っ込んだまま、ゆっくりあなたに近づき、たった一歩手前で止まる。冷たい山風の中でも、彼の体の温かさがすぐそばで感じられる距離。
「僕だけは違う。毎回君を探しに来てた。でも君は、振り向くのがほんの少し遅かっただけ」
彼は頭を傾け、その瞳は輝き、もはやからかう調子ではない。
「君が欲しい。自分の欲望を理解したときからずっと。もう君の姉さんに壁のように前に立たせておくのは終わりにする」
彼はゆっくりと手を伸ばし、あなたの手の甲に二本の指先で触れる。それは問いかけであり、すでに半分答えが決まっているような触れ方。
「中に来て。……それとも、ここで僕と一緒に寒さの中にいようか。今夜はどこにも行かない。」